それすらも演技で
※基→緑
緑川がひどいかも
これなら知らないままの方がよかった。知らないで騙されてるままの方が幸せだったのかもしれない。
「これからは緑川リュウジでよろしく!」
FFIの代表候補として緑川と一緒に雷門中に呼ばれた。
宇宙人を演じていた時と違う“緑川”としての彼を見れて、嬉しく思う。
少し時間がかかるかもしれないけど、昔みたいに仲良くしたい。そう思って声をかけた。
「緑川」
「なに?」
「話があるんだけどいいかい?」
「大丈夫だよ。ここで聞かれたくない話なの」
「そう……かもね」
「わかった、じゃあちょっとここを出ようか」
円堂くんに断りを入れてから、体育館を後にすると、緑川に「話って?」と聞かれる。
「緑川……好きだ。あの時みたいなことはもうしない。だから……付き合ってくれないか?」
「……本当?」
「あぁ」
緑川は少し躊躇いながらも俺に手を伸ばそうとする。俺はそれに答えるつもりで、手を差し出した。しかし、それに緑川の手が触れることはなくて。
――乾いた音が響く。
それと同時に頬がジンジンと痛む。
「うっわ、元マスターランクジェネシスのグラン様が嘘にも気付けないなんて」
「う、……そ?」
「そう。なにもかも嘘だよ」
その言葉に頭が真っ白になる。じゃあ、あれも? あの時のも? ぐるぐるぐるぐる、頭が回る。
「セカンドランクなんて馬鹿にされてさ、腹が立ったよ。でもなぜだか知らないけどグラン様は俺が“お気に入り”だったみたいだからね。――利用させてもらったよ」
まあ、それも意味なかったけどね。と悔しげに吐き捨てる緑川。
乾いた声で「俺のこと嫌いだったの?」と問い掛ける。その声は震えていた。
「……うん、嫌いだよ」
緑川が笑顔でそう言った時、なにかが壊れた気がした。
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Title by_確かに恋だった
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