※雷門中卒業あたり
「――ねぇ、別れよっか、俺たち」
何回も練習したんだ。
だから、大丈夫。感情の思うままに泣かないで、鬼道のためにちゃんと別れられるはずだ。
涙を堪えて顔をあげると、ゴーグル越しでもわかるくらい鬼道は動揺してい――るといいな。
「……今、なんと言った」
「だから、別れようって。俺ね、疲れちゃった」
俺はそう言って笑顔を浮かべる。泣きそうになるのをどうにか堪える。心なしか声が震えている気がする……。
真紅の瞳が、何かいいたげに俺へ訴える。それに視線に堪えられなくて鬼道を見ないようにする。
「ばいばい。今までありがと。大好きだよ、鬼道」
俺はそう言ってその場を離れた。後ろから聞こえる鬼道の声に聞こえないフリをして――……。
(俺がお前に依存して)
手遅れになる前に
「好き、だよ」
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3つの恋のお題ったー様より
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