君との出会いにマジで感謝!


「ねぇ半田ー」

 それはある日のことだった。同じクラスで仲のいい友人である松野にこんなことを言われたのは。

「キャプテンとキスしたことってあるの?」

「なっ……なに言ってんだよ」

 予想外の言葉に顔を真っ赤にして驚く半田に松野は「その様子じゃまだみたいだね」と呆れたように半田を見た。

「付き合って結構経つんでしょ? いい加減にキスしたらいいじゃん」

「そんな簡単にできたらこんなに悩まないよ」

 ただでさえ男同士なのに、と付け足すと松野が「恋にそんなの関係ないじゃん」と呟いた。

「松野、なんか言った?」

「なんでもない。それより早くしないとキャプテン、別の誰かのところに行っちゃうかもよ?」

「え……っ」



 そして放課後。
 最近、半田と円堂は一緒に帰っていた。たまに手を繋いで帰ることがあるがお互いに恥ずかしくてすぐに手を離してしまう。

(松野があんなこと言うから余計に気にしちゃうじゃんか……!)

「半田? どうかしたのか?」

 本当に心配そうに円堂が半田の顔を覗き見る。あまりの顔の近さに「なんでもない」と顔を真っ赤にして目を逸らした。

「……」

「……」

 
「……ねぇ、円堂」

 沈黙に堪えられなくなった半田が遂に口を開いた。恥ずかしいけど言うんだ、円堂と別れたくない。ギュッと拳を握る。

「なんだ、半田」

「きっ、キス……したい」

「う?」

「円堂が離れていきそうで不安なんだよ俺……、だからっキス……した……」

 小さなリップ音と重なった二つの陰。

「えん……どう?」

「よかった、そう思ってたのは俺だけじゃなかったんだ」

 その時の円堂の顔はたしかに赤かった。


(二人の関係が、)
(少し変わった瞬間)
 


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