後夜祭を抜け出して
雷門中学校の文化祭といえば、かなり盛り上がることで有名だ。
理由としては、マンモス校なので人数がたくさんいるからというのもあるが、様々な出し物やパフォーマンスがあるからであろう。
サッカー部の仲間たちからそう聞かされていた一之瀬は文化祭が楽しみだった。その中でも特に楽しみにしているのはとある“言い伝え”だ。
「うわーっ、見てみて半田! お化け屋敷だって、お化け屋敷!」
一之瀬は、瞳を輝かせながらお化け屋敷を指差す。隣を歩いている半田は呆れたようにため息をつく。
「おい。今からはしゃいでると後夜祭まで持たないぞ」
「大丈夫だよ。ねぇねぇ半田っ、染岡のクラスに行こうよ。ほら、アレ。金魚すくい?だっけ。俺、すっごく興味あるんだぁ」
日本人とはいえアメリカ暮しが長い一之瀬にとっては、いろいろと珍しいのだろう。
半田は呆れつつも、楽しいならまあいいかな。そう思った。
「半田っ、楽しかったね」
「あ、あぁ……そうだな」
もっと遊びたそうにする一之瀬と、疲れている半田。
そうやって楽しんでいる内に文化祭の終了時刻になった。
空は暗くなり、だけれど後夜祭が始まるからかさらに盛り上がりはじめていた。
「半田っ、ちょっと抜け出しちゃわない?」
唇の前に指を当てて、悪戯っぽく一之瀬は笑う。「行くよっ」と言って、半田の腕を掴んで一之瀬はとある場所に向かった。
屋上の扉がバンッと開かれる。
そこに広がる綺麗な風景に半田は驚きの声をあげる。一之瀬は満足げに「松野から聞いたんだっ」と話す。
「へぇ……俺、知らなかった」
――というか、松野からって珍しいなぁ、なんて思う。にしても後夜祭抜けだしていいのかよ。半田は不安そうに辺りを見渡す。
「あのね、真一」
「へ……っ?」
体を引き寄せられたかと思うと、唇が重なりあった。
それと同時に、パァンと夜空に花が咲き誇った。
「一之瀬?」
「“後夜祭の言い伝え”。この花火が空に舞う瞬間にキスをするとその恋人はずっと幸せでいられるんだって」
恥ずかしそうに、でも幸せそうに笑う一之瀬に、半田も嬉しくなって。
「ばーか。そんなのがなくても一哉と一緒なら幸せだよ」
………………………
誰だこれ\(^o^)/
後夜祭より文化祭の方が長くかいちゃったな…失敗
Title by_終焉
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