ごはーん

「…き………や……よ」

「んー」

「起きてくださーい?宿に着きますよ」

ポンポンと猫なコトノの背中を優しく叩く八戒

「ごはんー?」

「そうですよ」

「ごはーん」


宿屋にて


「あッ、てめェ!!それ俺が取っといたスブタじゃねーかよ。かえせ!!」

悟空が悟浄に怒鳴る。

「るせーな、イジ汚ーぞ猿!草でも食ってな」

悟浄は軽くあしらおうとする。

「言いやがったなC級エロ河童!!」

「ンだとコラクソチビ猿!!」

悟空と悟浄は勢いよく立ち上がり、暴れだそうとするが…

「静かに食え静かに!!!」

パパーンと三蔵は何処からか出したハリセンを二人の頭にヒットさせ黙らせる。

「すみませーん、お茶おかわり」

「おいしいね~コロネ~」

「きゅきゃぁ」

何食わぬ顔でお茶を頼む八戒ともちゃもちゃと肉まんを食べるコロネとコトノ。そんな様子を見て少女、朋茗はくすくすと笑う。

――変な人達…

ガチャっと扉が開き、男性が入ってきた。朋茗の父親である。

「おう、お客さん達!!朋茗を助けてくれた礼だ。どんどん食ってくれ」

朋茗の父親はすでに食べ過ぎているであろう三蔵達に声をかける。

「お父さん」

親に肩を抱かれた朋茗は、父親の顔を見上げる。

「恩にきます

「いやぁなんの―――ところで、お客さん達、東から来たんだってネ」

朋茗の父親が珍しそうに尋ね、三蔵が答える。

「あぁ…そうだが」

「へえ、珍しいなあ。東の砂漠は物騒であんまり人間は通らないのに、みなさんよく無事でしたねー。」

朋茗の言葉に悟空、コトノ、コロネ以外の三人動きが止まる。

「特に最近は、すっごく狂暴な“五人組の妖怪”が出没するってウワサですよ。彼らの通った跡には妖怪の屍の山ができるって…。同種争いで、人間には被害ないみたいですけど」

朋茗はそのウワサの五人が目の前にいることを知らずに話す。

「へー、でもそれってまるで俺らのことみた――」

状況を理解できなかった悟空は危うくばらしそうになり、悟浄が悟空を黙らせる。

「ああスマン。今、お前の頭にハエがいたんだ」

悟空の顔面をテーブルに押さえつけ口を開く悟浄。

「惜しーな、逃げられたか」

三蔵は話を合わせる。

「…」

何も言えない悟空。

「気にしないで下さいね

「……?」

「きゅきゃぁ」

「ところで、この界隈での妖怪の動向はどうなってるんだ?」

三蔵は話をそらし、本題に入る。

「…どうもこうもないがね。ちょっと前まではこの町にも妖怪が普通に生活してたさ…。」

――だがある日を境に、みんな何処かへ消えちまった。
町の人間を十人程喰いちらかしてな…!!

「俺達人間には、何が起きたんだかさっぱりさ」

朋茗の父はやるせない表情を浮かべ話す。三蔵は考える。

――この町も同じか…。
三仏神の言う通り…この「異変」は、すでに桃源郷全土に渡るのか…。
狂暴化した妖怪は、人間に恐怖を植えつけ、バランスの崩壊に拍車をかける。
悪循環だな…

三蔵の考えがまとまってきたそんな時…

「――私、妖怪なんて嫌い」

朋茗が口を開く。

「朋茗」

朋茗の父親が声をかけ、コトノとコロネ以外の全員が朋茗に目を向ける…。

「だって人間喰べるのよ!?ただの化け物じゃない!」

「(コロネは人間や妖怪を食べるけど化け物じゃない。)」

大丈夫と言う意味も込めて、コロネを撫でる

朋茗の言葉はまだ止まらない…。

「人間と妖怪が一緒に暮らすなんて無理よッ。町のみんなもそう言ってる!」

「朋茗!!――すまんね…。妖怪に喰われた被害者の中に、この娘の友達がいたもんだから…」

朋茗の父親が口を開く。朋茗の目には涙がたまっていた。

「…さてと、ごちそうさまでした。この料理、全部朋茗さんが作って下さったんですよね?」

八戒は、この場の空気を戻すため、口を開く。

「あ…はい」

朋茗は答える。

「えっマジで?すげーじゃん!!こんなウマイ物、久々に食ったよ、俺。さんきゅなッ」

悟空は満面の笑みを浮かべ、朋茗にお礼を述べた。

「…あ、ありがとう…」

朋名は頬を赤らめ呟いた…。




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