次の日は休みだった。目が覚めると酷く頭が痛んだ。二日酔いしたみてェ…『汚濁』を使ったからか…?
携帯を見ると何十件もの電子手紙(メール)がきていた。一人一人に返信する。太宰だけは無視して。
「中菜、おはよう」
「お茶子…御早う」
電視(テレビ)に目を向けると
『横浜のヒーロー密着取材特集!!横浜には名高いヒーローがたくさんいます!!今日は森鴎外ヒーロー事務所に所属するヒーロー達に密着取材を行ってきました!!』
「ヨコハマ…?森鴎外…首領(ボス)…?」
「そっか、あんまりテレビ見ないもんね、中菜は見るの初めてだっけ、」
「お茶子、一寸(ちょっと)横浜行ってくる」
「へ…??ちょっと!!中菜!!」
電車を乗り継いで横浜迄来た。端末で検索すると直ぐに出てきた。横浜はヨコハマに良く似ていた。森鴎外ヒーロー事務所は前世でポートマフィアの基地がある場所に建っていた。
「チュウヤ…??」
少し高めの声…
「エリス嬢…」
「中也くん…?」
「首領…お久し振りです」
帽子を取って跪く。
「中也くん流石にそれは…」
「申し訳ございません、首領。中原中也…基、麗日中菜です。」
「中也くん、私の事務所に来ないか??」
「矢張り、首領は…」
「あゝ、ヒーローとして活動しているよ。私の事務所には、紅葉くんや梶井くん、芥川くんもいる。黒蜥蜴もある。」
!!黒蜥蜴…立原…
「もう!難しい話はいいから!!チュウヤ!事務所で遊びましょう!!」
「え、エリスちゃァん?!」
「リンタロウは黙ってて!!チュウヤが女の子になってたなんて、私、驚愕(ビックリ)したわ!!」
「エリス嬢…」
エリス嬢に手を引かれる。冷たい手は矢張り首領の異能………個性だと実感している様な気持ちになった。事務所は昔の基地と変わりなかった。
「中也かえ……」
「姐、さん」
「中也……!!」
ふわりと抱き締められた。昔の姐さんの匂い。
「姐さん、俺、女に成ったンだ。優しく可愛い双子の姉も暖かい両親もいる。姐さん、俺今幸せなンだ」
「良かった。」
「姐さん、俺今、雄英に通ってるンだ。ヒーロー科で、太宰も一緒だ」
撫でられる頭。懐かしい。前世の俺の初恋。
「姐さん、先に逝ってしまってすみませんでした。」
「中也、会えて嬉しかったぞ。卒業後は是非、此処に来るがいい。」
「…姐…さ、ん」
俺と姐さんは泣いた二人で、静かに泣いた