中也が汚濁を使った。それはQ奪還作戦の時と酷似していた
「包帯野郎、アレは何だ」
「あれが中y…中菜の異n…個性の本当の姿、『汚濁』。中菜の『汚濁』形態は、周囲の重力子を操る。自身の質量密度を増大させ、戦車すら素手で砕く。圧縮した重力子弾は凡百質量を呑み込む暗黒空間(ブラックホール)だ。但し、本人は力を制御出来ず、力を使い果たして死ぬまで暴れ続けるけど。」
「どうして、そんな危険なことをやらせたんだ!!」
「緑谷の言う通りだ。相澤、お前は何を企んでる?」
「私はただ、中菜の事が……厭、何でも無い。何も企ンでいないよ。今はね」
「相澤、中菜は大丈夫なのか…?」
大丈夫か…ねェ
「心配要らないよ切島君、いざと言う時は殺す直前で止めて、与謝n…修繕寺先生に見せればいい。死ぬ直前なら修繕寺先生はいくらでも治療してくれる。…だから、派手に暴れてしまえ、中也…」
中也の汚濁は綺麗だった。とても綺麗だった。
「すごい…」
そうだね、緑谷君、中也はすごい。気付けば敵はバラバラに成っていた。
「中也、もう終わりでいい。おやすみ」
小さい声で「太宰、殺す」と云い眠る中也を姫抱きにして皆の元へ行く。飯田君が、先生方を連れて来てくれた。
「…た…ち、はら…」
中也は寝言を発した。立原、確か黒蜥蜴の拳銃使いで中也の狗…そして、中也の……
苛ついた。私の名前を呼ばない中也に、中也の心の中の立原に、中也に置いて行かれた自分に。苛ついた。中也は目覚めた後、お茶子ちゃんの元へ行った。まだ身体には中也を抱えた重さが少し残っていた。