今日のヒーロー基礎学は人命救助だった。前世で数えられない程人を殺した人間が人命救助するなンてな。

「中也、手に傷が付く」

知らぬ間に握り締めていた様で、包み込まれる俺の手…

「触ンな青鯖。」

太宰の手を払い除ける。
バスから降りるとデケェ施設が目に入った。

「すっげー!USJかよ!?」

「水難事故、土砂災害、火事…あらゆる事故や災害を想定し僕がつくった演習場です。その名も…」

Usono(ウソの)Saigaiya(災害や)Jikoroom(事故ルーム)

「「USJだった!」」

雄英はどンな予算管轄だよ。

「えー始める前にお小言を一つ、二つ…三つ、四つ…皆さんご存知だとは思いますが僕の“個性”はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

「その“個性”でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

緑谷が興奮してそう問いかけている。此奴は本当にヒーローが好きなンだな。

「えぇ…しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう“個性”が居るでしょう。一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っている事を忘れないようにして下さい」

人を殺せる…前世で何人も殺した。殺した奴の顔なんて覚えてねェ。初めて殺したのは何時だっただろうか…

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では…心機一転!人命のために“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのではない、救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご静聴ありがとうございました」

皆が拍手喝采する中

「中也…」

「あゝ、"何か"が来る」

「そんじゃあまずは……」

相澤先生が広場の方を指さすと中央に見覚えのある黒い靄なような物体が姿を現した。その瞬間、相澤先生がゴーグルを装着して声を張り上た。

「一かたまりになって動くな!13号、生徒を守れ!」

「何だアリャ?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動くな!あれはヴィランだ!」

敵(ヴィラン)…?

「イレイザーヘッドに13号ですか…先日頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが…」

「どこだよ…せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…平和の象徴…いないなんて…子供を殺せば来るのかな?」

黒い靄を通じてゾロゾロとヴィランが出てくる。移動手段系の個性…か

「初めまして。我々はヴィラン連合。せんえつながらこの度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのはオールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

黒い靄は俺と目が合うと「見つけた」と云った。どう云う事だ。油断した先に俺と太宰は相澤先生の近く…USJの中央まで移動させられていた。周りを見れば敵。面白く成ったンじゃねェの?

「太宰、殺るぞ」

「判ったじゃあ私は武器無いから中也、短刀(ナイフ)貸して」

「あゝ確か此処に。」

「そう云えば摺ってたの忘れてた。」

「手前!!」

「何バカなコントしてんだァァァ!!」

敵に打拳(パンチ)された。

「フッ、打拳ってのはなァこうやって打つンだよ!!」

敵は遠く迄飛んで行った

「流石、ポートマフィアきっての体術使い」

「手前も中々やるンじゃねェの?最年少幹部サマ」

太宰の足下で伸びる敵(ヴィラン)。

「やっぱり一筋縄じゃダメかぁ」

首を掻く主犯格らしき男。目の前で黒い靄から大きな触手の化物が出てきた。

「なン、だよ之…」

「脳無、女を捕まえろ」

太宰が弾き飛ばされる

「太宰!!」

化物を重くして、太宰の元へ駆け寄る。

「中也、Q奪還作戦は覚えているかい?」

「当り前だろ。あの最悪の夜は忘れる筈が無ェ」

「なら良かった!『恥と蟆』いくよ」

心の中で一つ舌打ちした。相澤先生を見て目を見開いた。嘴の男にねじ伏せられた体。

「太宰、あれ」

「兄さん…!!…駄目だ。私達は触手を倒さないと。触手に捕まって身体をぬるぬると触られているのを見るのもいいかも知れない。」

「巫山戯ンな!!!」

伸びて来る触手。太宰が囮になり太宰の背後から跳ねて触手一本殴り、重力をかける。水難ゾーンで緑谷達が手の男と嘴の男と対峙していた。USJの扉が開いた。

「もう大丈夫、私が来た」
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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