一目で分かった。中也はとても綺麗になっていた。何時も女性にする様に近付いた。
長くなった髪、変わらない髪色。変わらない目。帽子。身長。全てが愛おしかった。
昔の様に声を掛けた。最初は知らないふりをして、心中に誘った。そうしないときっと気付いてもらえないかもしれないから。
中也を罵倒した。言返す中也はキャンキャン吠える仔犬だと思えてしまい、あんなに鬱陶しく思っていた前世が馬鹿らしく思えた。
入試会場は同じには成れなかったけど、中也が稼ぎそうな得点と中也が助けそうな人数を助けた。
中也はきっと合格するンだろうな。もしも私も中也も合格していたら、兄さんに同じ学級にしてもらえるように頼んでみようかな。
受験結果を聞いた。
結果は同率で1位だったらしい。中也と同率。
あゝ矢張り計算通りだった。