人間と恋に堕ち、滅んでいった悪魔を私は何度も見てきた。
馬鹿馬鹿しいと、愚かで滑稽だと。
「私も大概…言えた事ではないな…」
散乱した机に手入れのならない室内。己を掻き乱す黒い何かに苦笑した。
私も滅んでいった悪魔たちと同じなのだ。彼女を、名前を愛してしまっていた。本当に…心から。
だが、別れがある事もわかっていたつもりだった。…ただ、それが早まっただけ。それだけなのに。
「何故、私からお前は消えない」
…違う。消えて欲しくなど無いのだ。どれ程そうではないと思っていても、たったひとつある私の心が、それを否定する。
何故なら私はまだ、彼女を…
「…ああ、本当に…馬鹿馬鹿しい」
気づきたくなかった事が、私を惑わす。そして、自身を縛り付ける鎖となるのだ。
窓に情けなく映った己に、私はただ笑った。
貴女への愛が、消えない
2011/12/17
2011/12/27 加筆