「僕がもっと早く、駆けつけていれば…」
すみませんでした。そう言って頭を下げる青年に、私は責める気すら起きなかった。
「…何故、貴方が謝るんです」
「だって…苗字さんは…!」
「奥村先生の所為ではありませんよ」
そう、貴方の所為ではない。彼女が死んだのは、他でもない。
「私が殺したんです」
あの時、私が彼女を任務に行かせなければ、名前は今でも私の隣で笑顔を浮かべていた筈だ。
…私が、殺したに等しい。
「……!」
「自分を責めるのはやめてください。きっと彼女は望んでいませんよ」
ふと笑って背を向ける。感覚の無い身体に自嘲気味な笑みを浮かべながら、私はその場を後にした。
「…それは、貴方だって同じですよ」
悲しそうに顔を歪めた彼が、そう呟いていた事にすら気づかずに。
誰よりも、己を恨んだ
2011/12/01
2011/12/27 加筆