Looking for You ! | ナノ


今日は柳くんファンクラブのオフ会に来ている。月1回程のペースで行われるこれは、お茶やらご飯やらを食べながら推しメンについて語りまくる会であり、普段校内で騒げない代わりに設けた、所謂柳くんを愛でまくろう!的なやつだ。通称自慢会とも言う。


「昨日私、柳くんの笑ってるところ見ちゃったの〜本当に素敵よねえ」
「猫田さんそんなの常識じゃない?私なんて目合っちゃったんだから!」
「ちょっとナナギさん、それあなたじゃなくて私よ!?柳くんは私と目が合ったんだから!」
「嘘つかないでよ檜さん、あれは絶対私だったわよ!」


という風に、早くも自慢話が勃発してしまうのが少々痛いところでもある。ちなみに、ファンクラブ内ではお互いにニックネームで呼び合う事を原則にしている。本名やクラスを知っている人は極少数だろう。これも共同して悪さをさせない為らしい。詰まるところ、活動はあくまでもクラブ活動の間だけという事だ。


「あ、ねえrangeさん。そういえば今日も持ってきてる?」
「…うふふ、持ってきましたよ!」


ファンクラブ内での私のニックネームはrangeである。想像の通り、柳くんの下の名前を拝借致しました。でも皆いやに発音いいから困る。


「ジャーン!」


持っていた袋から取り出したそれに、周りが大きくおお!と反応した。…ああ柳くん、写真になってもおふつくしい。


「柳くんかっこいいー!」
「rangeさん毎回すごいよね」
「うらやましい…」


ちらほらとそんな声が上がる。どうやら今回の自慢大会も私が優勝のようだ。A4程まで引き伸ばして貰ったふつくしく微笑む柳くんの写真ににやつきながら私は炭酸ジュースを一気に飲み干した。
実は毎回写真部の知り合いに掛け合って横流ししてるなんて言える訳がない。


「(ああ…早く帰って数学の宿題やらなきゃ…)」


交換条件で毎回の如く出される数学の宿題に内心涙目になっているのを知る者は誰もいないのである。
 

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