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「ああああ柳くんおふつくしい…」


現在午後4時。絶賛部活中の今、私はテニスコートから数十メートル程離れたところから柳くんを見守っている。フェンス近くには数十人程の集まりができているが、まあよしとしよう。テニス部ファンクラブ規約として、4時半からの全体練習時には退去しなければならないので、それまでは皆筋トレ中の推しメンを近くで見る事ができるという訳である。ちなみに私は恐れ多いので、数日かけて見つけ出したベスポジに待機している。


「足長い…髪さらっさら…あ、わら…って誰だよあの黒いモジャモジャ」


突如視界を遮った不愉快極まりない黒モジャに果てしなくイラッとした。今、今柳くんが笑った顔見れたのに…ふざけろ。
私の楽しみの3分の1を奪ったモジャ野郎をガン見していると、バチリ、手前に居たジャッカルと目が合った。


『お前、怖いぞ』


口パクで何とも言えない表情をしながらそう伝えてきたジャッカルにとりあえず顔の前で手を揃えといた。…運が良かったな黒モジャよ。最後にもう一回だけ睨み付けてやったら、時間を知らせる笛が甲高く鳴り響いてフェンスに群がっていた人がちらほらと散っていく。それを視界に収め、そろそろ私も帰ろうかと重い腰を上げたのだった。
これが一年近くも続いている、私の日課である。
 

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