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私は柳蓮二ファンクラブ会員ナンバー04苗字名前である。
ファンクラブ、と聞くと眉間に皺を寄せる者も多いが、この立海ではその頭にある概念は覆される。
世間一般そこいらのファンクラブといえば、自分の推しメンをピーチクパーチクと大声で(騒ぎながら)応援(という名の妨害)をし、更には彼らに近寄ろうとする女が現れたりでもすれば呼び出し&集団リンチの刑。マネージャーになろうとでもすればイジメられ、学校での居場所はなくなるという。…つまり、ファンクラブとは至極性格の悪いギャルやら、変な正義感を振りかざして暴力を正当化させようとする阿呆な連中であると考える人が多い訳である。が、しかし。ここ立海ではそんな陰はあるどころか、生徒会から直々に活動を許されている言わば公式のクラブ活動なのである。しかも上記に述べたような性格の歪んだ子はおらず、多少けばけばしい子でもちゃんとした常識を持っている人たちばかりなのだ。会員同士の衝突やその他もろもろのいがみ合い、喧嘩など見たことも噂も流れてはいないという。…素晴らしい。
と、話が逸れてしまったがつまり私が言いたいのは、立海ファンクラブは本当にすごいという事なのである。


「…で、何でそれを俺に言うんだよ。つか知ってるって」
「いや、改めて思ったから。ファンクラブ公式化してくれてるお蔭でもう、…ねえ?」
「(怖い)」


にんまりと笑うとパンを頬張っていたジャッカルは若干苦笑いをしていた。私が力んで語り続けている間もジャッカルはちゃんと聞いてくれていたようだ。流石優しいと定評のある男である。


「でねでね、柳くんがさあ」
「…だと思ったぜ」
「流石ジャッカルわかってるね!」
「一年近く同じパターンなら読めるだろ」


はあ、と盛大な溜め息を吐いたジャッカルを尻目に昨日収めた柳くんの姿を想像する。…ああ、かっこいい。


「柳くん…」
「相変わらずだよな、お前」
「あそうだ。ジャッカルのファンクラブ会員また一人減ったらしいよ」
「……マジかよ」
「マジマジ。あと8人だって言ってた」
「は、はち…」


ひくひくと頬を引き攣らせながらがくりと肩を落とす我が友人に玉子焼きをあげる事にする。がんばれジャッカル。蚊の鳴くような声で「いっそ解散してくれた方が楽じゃねーかよ…」と聞こえたのには聞こえていない振りをしておいた。
 

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