ずきずき、どきどき。下腹部の痛みにプラスされた胸の鼓動に大きく溜め息を吐く。白いベッドに横になりながらぼんやりと宙を眺めた。
あと一時間で昼休みという事もあり、それまではベッドを使ってもいいと許可を貰って現在絶賛ゴロゴロ中である。ちなみに無事(?)保健室まで送り届けてくれた青峰は後でまた来るわと言って教室へと帰っていった。
「……、痛い…」
決まりで薬は処方できないとの事で、おなかにカイロを貼りながらゆうるりと撫でる。どうやら熱も上がってきたのか、頭もぼうっとしてきた。
…滅多に熱出ないのに、どうしたものか。慣れない身体のだるさに私はゆっくりと瞼を閉じて、小さく息を吐いた。
寝ているみょうじの頬に触れると、少しだけ熱を持っていた。汗で張り付いた髪を払ってやると、身じろぎして眉間に皺を寄せる。それが相変わらずで少しだけ笑った。
「青峰くん?」
「…あ?」
「私ちょっと職員室に用事があるから、みょうじさんの事任せてもいいかしら」
「あー…いいっすよ」
「ふふ、彼女想いなのね、羨ましい」
「……、」
じゃあ、お願いね。そう言って保健医は出て行った。…でけえ地雷置いてってくれやがったな。はあ、と息を吐いて近くにあったパイプ椅子に腰掛ける。
「彼女…ねえ」
…そうならいいんだけどな。現実はそうはいかねえもんだ。
する事もなく手持ちぶさただった為、とりあえず気を紛らわせようとみょうじを観察する事にする。
「………」
…あー、やべえ。熱で苦しんでる時言う事じゃねえけど。なんつーか…
「やっぱ、かわいー…、な」
寝顔とかぶっちゃけ暫く連んでるけど見たことねーし。汗が首筋伝ってんのとか妙に色気あるし。見れば見る程逆にこっちが照れてくる。
「……早く治せよ」
そう小さく呟いて、俺は赤く染まる頬を緩く撫でた。