わが恋は、 | ナノ

…うそでしょ。
ベッドから起き上がって感じた下半身の違和感に、私は大きく溜め息を吐いた。これは一ヶ月に一度必ずやって来る、いわゆるアレ。予想していたよりも早く訪れたそれに既にテンションは急降下。しかもじわじわと下腹部に痛みが広がってくる。


「休みたいけど…なあ」


はっきり言ってつらい。が、テストが近い今休むと後々面倒なのも確かである。…それに、


「アホ峰、私が休むと家まで来そうだし」


頭を過った男に小さく苦笑して、私は学校の準備をするため制服へと手を掛けた。
…のだが、


「………しね」

「ハァ?」


机に頭を突っ伏してぼそりと呟いた言葉に目の前の男は何だいきなりと声を低くして反応した。地味に下腹部に響く声である。


「青峰喋んな」

「意味わかんねーよ。つかお前いつにも増して機嫌悪ィな」

「…今ちょっと体調悪いから」

「あ?マジかよ。…顔上げろ」


その言葉になんだよの意味を込めて突っ伏していた顔を上げる。すると少しだけ眉間に皺を寄せた青峰の大きな手のひらが、額にぺたりとあたった。


「……!」

「少し熱ィな。保健室行って……ンだよ」

「……べ、つに」


…不意打ちなんだよ、ばか。自分より数倍も大きい手のひらは男って感じがして、やっぱりおんなじつくりでも全然違うって事を実感する。
…男の人に触れられて何も感じない程、私は女をやめてない…はず。

「みょうじ?」


名前を呼ばれてハッとする。怪訝そうな顔つき(悪人面)をする青峰はそんなにつれーのかと言葉を続けた。


「…や、そーゆーわけじゃない、けど」

「早く行かねーと授業始まんぞ」

「…わかっ、た」


…なんか、変だ。いつもならもっと自分でも引くぐらい生意気な口利くのにな。やっぱり熱あったのかも。
…多分そうだ。だってそうじゃなきゃ、着いてってやるよって言いながら私の頭をぐしゃぐしゃ撫で回すこいつがほんのちょっとだけ、恋しいだとか、思ったりしないから。
 
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