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しまった、と思った時には既に遅かった。後の祭りとはまさにこの事なのだろう。顔の横に置かれた筋肉質な腕と、目の前の視線に私の緊張はピークに達している。


「お前が変態だったとはなあ」


そう言ってにやにやと笑いながら舌舐めずる青峰はいつの間にか服の中に手を入れて肌を滑らせていく。そして辿り着いたお情け程度の膨らみを形を確かめるように揉みしだいた。


「っん、」
「まさかノーブラで誘ってくるなんてよ」
「だ、から、誘ってないって…っ」


はあ、と熱っぽい息が出ていって身体が徐々に火照り出すのがわかる。
学校も休みというので完全にオフモードだった私は、いつもよりだらだらと休日を過ごしていて。休みまでブラしてられるか!と素肌インTシャツという女らしからぬ格好をしていたのだ。そこにアポも取らず家へ遊びに来た青峰にそれが見つかり、ベッドに連行、今こうして組敷かれている訳で(どうやら彼は私がドアを開けた瞬間に気づいていたらしい)。すぐにでも追い返せば良かった、と何度無駄な事を思ったか。いつもしている行為であるとはいえ、プラスノーブラという特典付きで変なスイッチが入ったらしい青峰はギラギラと目を光らせている。到底逃げられはしない、と私は悟った。


「…考え事してる余裕あんのか?」
「ひっ、や…ぁああっんん、!」


ちううっ、と頂に吸い付いた青峰は時折歯を立てたり舐め回したりと執拗に攻め立ててくる。どうやら考え事をしていたのを良く思わなかったらしい。一方は舌で愛撫され、もう一方はぐにぐにと揉まれたりきゅ、と頂を摘ままれたりして私はすでに虫の息だ。


「オイオイ、なに胸だけでギブアップしてんだ?」
「や…ちょ、さすがにそれ以上はだめだって!」
「あ?ハナっからお前に拒否権なんざねーよ」


なあ、ノーブラ名前ちゃん。耳元で息を吹き掛けながら低く囁かれて思わず喉が鳴る。それに比例するように芯がずくんと疼いて、ああもうどうしようもないなと自分に呆れた。上半身を露出させて厭らしく誘うように目を細めた青峰が本当にかっこよくて艶やかで、ほんの少ししかなかった理性に自制は利かない。


「……ばか」
「そりゃお前もだろ?」


簡単な肯定の言葉はくつりと笑われてしまって、素直じゃねえ女、なんて言われてしまう始末。もうどうにでもなればいいよ、という意味を込めて挑発的に笑む男の唇へと口づけた。
結局私も、期待してたってことで。



2013/02/10
ノーブラインTシャツは乳首が擦れて痛い(体験談)。