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は、と熱い息が漏れて視界が歪む。細く開いた視界には女の私が嫉妬しちゃうくらいきれいな顔が浮かんでいて、双方の鋭い目はまるで射抜くように私を見つめていた。…はずかしい、一体いつから目を開けてたのよ。と訴えても絡まる舌は執拗に私のそれを追いかけて、捕まえる。くらくら、頭がぼんやりとして何も考えられない。胸を押しても叩いても、足りない、というように頭を掴んでまで引き寄せるものだから、立ってすらいられない。


「ふっ、ん…っ、んんっ」
「……っ、は」


どちらのものかわからない唾液が顎を伝って流れ落ちる。
…もう、だめだ。がくがくと震えていた足はついにかくんと崩れてしまった。


「っ、…まったく、何をやっているのだよ」


それはこっちのせりふだばか。そう言ってやりたいのに口から出るのは荒い息。腰を掴まれるように抱えられていた私は、眉間に眉を寄せる真太郎をここぞとばかりに睨みつけてやった。


「だ、れのせい…だと、」
「何だ、俺の所為だとでも言いたいのか」
「あたり、まえ!」


未だ立てる程に力の入らない私を真太郎はふんと鼻で笑ってベッドへと押し倒した。そしてすかさず馬乗りになると、口角を緩めてそっと顔を近づけた。


「…したいと思ったからした。それ以外に理由が必要か?」
「……っ、横暴!」
「だったらなんだ」


吐いた言葉はさらりと受け流されて、ついでに逃げ道も塞がれる。開き直ったように見下ろしてくる真太郎にもう何を言ったって意味はないんだと、半ば諦めたように肩の力を抜いた。


「…お前が足りないから、求めるだけだ。何か異論があるなら聞いてやらない事もないのだよ」


そうやって眼鏡のブリッジを上げてそっぽを向くのが照れ隠し故になんだってわかったら、憎もうにも憎めないじゃない。しょうがないから、今だけはあんたの思うがままにさせてあげるわ。

…だって私も、あんたが欲しかったから。



2013/02/10