10万打企画 | ナノ



たまに、たまーに、思う事がある。
息遣い荒く吐息を吐く阿近さんの額から頬にかけて汗が流れ、ぽたりと私の肌に吸い付くように落ちていく。それをぼんやりと眺めていたら、不思議そうに首を傾げた阿近さんが視界に入った。


「…名前?」
「………」


ちらり、と視線を動かして鋭い目に合わせる。さっきとは違って幾分か優しくなったその瞳に私はくすりと小さく笑った。


「阿近さんて、ほんとに技局員なの?」
「…は、何だ急に」
「だって…」


合わせていた視線を下げて、いつもは布で覆われている肌に目を移す。今はそういう行為中だから、阿近さんは上半身裸な訳で。ちなみに阿近さんは全部より半分脱がせるのがいいという、まあ結構な変態でいらっしゃる。そんな彼の裸体は日に当たっていない所為か白くてお世辞にも健康的とは言えない。けど、ほどよく筋肉がついていて、腹筋に至っては綺麗に跡が付いていた。それを見る度に、本当に引きこもり集団のリーダーなのかと疑ってしまう。


「…ふーん」
「鵯州さんはあんなだし、リンくんは見るからに華奢だし…他の技局員さんはみんな理系って感じだから。ちょっと不思議に思って」


阿近さんて着痩せするんだなあ。なんて今更な事を思いながらへらりと笑っていると、熱の篭った手が顎を捕らえて、噛みつくような口づけが降ってきた。予測もしていなかったそれにびく!と全身が震えて咄嗟に阿近さんの腕を掴む。


「ふ…ぅ、ん、あっ」
「……は、」


熱い吐息が直接耳に届いて声が漏れる。唾液で濡れた舌を中へと突っ込まれてびりびりとしたものが背中を走っていく。


「やぁ、阿近さ…ふぅっ」
「…イイの間違いじゃねえのか?」
「ひう…っ」


低く唸るような声が頭まで駆け上って麻痺するように掴んでいた腕がソファへと落ちる。それをよしとしたのか阿近さんは耳を甘噛みすると漸く唇を離して私の額に優しく口づけた。


「…どうした。さっきまでは他の男の名前出すぐれェ余裕だったのによ」
「っ、……いじ、わるっ」
「悪いな。俺は元々こうなんでね」


口角を上げながらそんな事を言う阿近さんを恨めしく睨み付ける。息も絶え絶えになる私に、阿近さんは一瞬だけ目を丸くさせて「…お前が悪ィ」と静かに呟きながら私の足に手を掛けるのが目に入って、拒否の言葉を投げようとする唇は喘ぎ声を発する事しか出来なかった。結局当初の疑問が解決する事はなく、私は気絶するまで彼の性欲に付き合う羽目になったのだった。…この悪魔め。





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芽生さまからのリクエストでした!
ストーリー性に欠けている気がしますが、お楽しみ頂けたら嬉しいです。…阿近さんて絶対着痩せしてますよね(笑)

では、リクエストありがとうございました!

2013/03/04 加筆