要するに、惚れてます。
ふわふわ綺麗な髪に、切れ長の大きな瞳。ソッと微笑む笑顔はまるで天使。
そんなあの子は、俺様の彼女。
「なまえちゃーん、帰ろ?」
クラスの違う彼女を迎えに行くのが俺様の毎日の日課。
『あ、佐助!』
俺様の声に気づいたなまえちゃんがパッと顔を綻ばせる。それと同時に群がっていた男たちが鋭い目を俺様に向けた。
「チッ…もう来やがったのか」
「ちょっと、その言い方はないんじゃない?竜の旦那」
忌々しそうに舌打ちをする旦那にハァ、と溜め息を吐く。
「彼女にストーカーなんざ笑えねェぜ?」
ニヤリと口元に笑みを浮かべてククッと隻眼を細めるのは鬼の旦那。
「それあんたたちにそのまま返すから。俺様のなまえちゃんに手ェ出さないでくれる?」
ニヤリ、そう笑って戸惑うなまえちゃんの手を引きながら教室を出た。
「猿Fuck!!」
途中そんな声が聞こえた気がしたけど気にしない。
…ホント、あの二人は諦め悪いんだから。俺様が違うクラスだからってなまえに近づくとか……ムカつく。
『あ、あの…佐助?』
怖ず怖ずとした声に振り返ると、上目遣いななまえちゃんが瞳を潤ませながら俺様を見ていた。
「(…可愛い)どうしたの?」
『佐助が…怒ってると、思ったから…』
…ああ、そう言えば教室出てから一言も喋ってなかったっけ。
「いや、何でも…」
…思えば俺様っていつもこうやって許してたっけ。
ちょっとくらい意地悪したって…許されるよね。
『佐助…?』
「…なまえちゃんてさ」
『…?』
「俺様の事ホントに好きなの?」
『えっ』
驚いて瞳を見開くなまえちゃんは今すぐ抱き締めたくなるくらい可愛い。
それと同時にもっと…苛めたくなる。
あはー、やっぱ俺様ドSだわ。
『…す、きだよ?』
「…ホント?なら、行動で表してよ」
『え…』
「俺様が好きなら、どうしたらいいかわかるでしょ?」
『……』
怖いくらいににっこり笑って、うっすらと目を閉じる。薄暗い視界には顔を真っ赤に染めてどうしようか迷ってるなまえちゃんが。
…俺様が好きなんてのはわかってる。
そうじゃなかったら、そんな物欲しそうな顔…するわけない。
『…さす、け』
気配が近づくのがわかる。
途端にちゅっと柔らかい感触が唇に伝わった。
すぐに離れそうになったそれを逃さないように、俺様はなまえちゃんの身体を抱き締めた。
『えっ、さす……んっ!?』
驚く声に内心含み笑いをしながら口内を犯す。
抵抗する力が完全に抜けきったのを見定めて、唇を離した。
『ふ、う…』
「なまえちゃん可愛い」
『も、もう!佐助のばか…っ』
くたりとする身体を抱える俺様の胸に埋める。
『で、でも…ホントに好きなのは、佐助だけだからね…?』
「……!」
ぽそりと聞こえたその言葉に、俺は赤面する顔を隠す事が出来なかった。
名無しさまからのリクエストでした!
企画にご参加くださりありがとうございました!
2011/11/05
2012/03/31 加筆