光と闇の先に番外編
※オリキャラとして光という女の子が出てきます。
「ヤッベェエエエ!!遅刻だ!」
時刻は8:20、低音ボイスに大柄男の声が響き渡る。そしてその男が乗る自転車はキコキコなど可愛らしい音でなく、道路工事で耳にするような機械音が発せられていた。
(夜中にホラー映画なんざ見なきゃ良かったぜ…)
怖くて寝れなかったオチだ。
学校の門が閉まるのは8:30、この調子なら間に合−−『元親!!』こ、この声は…
「なまえ!」
『丁度良かったぁ…乗せてって!』
走っている途中だったのだろう、なまえの額は少し汗ばんでいる。
「いや待て、二人乗りなんかしたら重…ってェ!」
ゲシッと足を踏まれる。
「わ、悪ィ…」
ったく何で俺が謝らねェと…
『あー!元親がモタモタしてるからあと5分しかないじゃない!』
お前の所為だろ!と言いたい所だが遅刻は困る。
「早く乗れ!」
なまえを促して自転車を漕ぎ出した。
(やっぱ重ェ…)
と思ったのは喉の奥で止めておいた。
学校から少し離れた自転車置き場に投げ入れるように自転車を突っ込むと、ダッシュで校門へと向かう。
「ヤベェ!あれ毛利じゃねェか!」
『え、嘘!そう言えば昨日言ってた…やばい!』
キィイ…と門が閉まりそうになる。
『待ってぇええ!!』
ガシャン…
『ま、間に合っ「ていないぞ。遅刻だ」…えっ!』
はぁはぁと息を整えると目の前には鬼…いや元就が。
「貴様等…我の前で遅刻とは良い度胸ではないか」
お、怒ってらっしゃる…いやしかし遅刻する訳にはいかないのだ。
元親は遅刻のし過ぎで留年の可能性、なまえは一応皆勤賞を狙っている。
(って明らかに俺の方がヤベェじゃねェか!)
という元親の心の叫びはスルーで。
『…お願い元就!今日だけ見逃して?』
「……」
『お願い…元就ぃ…!』
「……行け」
も、毛利がデレやがった。…じゃねェ!
「狡ィぞなまえ!」
『へへ〜んだ!じゃあね、元親!』
女って奴ァ…セコイぜ…
「…お願い元な「死ね」チッ、差別かよ!」
「何故貴様を差別せねばならぬ。これは分別ぞ」
「ゴミか!俺はゴミか!」
「……」
「無言て事ァ肯定だな!よし、面貸せ!」
という言い争いが早10分続くのである…
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1限目 古典
「……であるから」
先公の話なんざ頭に入らねェ。毛利との言い争いで疲れ果てちまった…
なまえは器用にシャーペン持ちながら寝てやがるしよ。
「次…みょうじなまえ、答えろ」
あ、当たった、ククッ…あの先公答えなきゃ立たせられっからな…ザマアミ『…豹は死して皮を留め、人は死して名を留む』
「…いいだろう」
………神様って酷ェよな。俺わかんなかったぜ?
ったく何で「…次、長曾我部」
………………
「…立っていろ」
今日は災難だな。あ、確か占い最下位だったわ。素直に立つとなまえが視線を送って来た
(ばーか!)
(う、煩ェ!)
▼
「何でお前答えられたんだよ」
『え?学年3位舐めないで欲しいなー』
そういやこいつ頭良かったっけな。
『元親ばかだねー…あ、これあげる。さっきのお詫びとお礼』
ぽん、と渡されたのはコーヒーのパックジュース。俺の好きな微糖だった。
「…サンキュ」
「morning.なまえ、元親。さっきは災難だったな」
良い雰囲気を邪魔した声の主は政宗。後ろに真田と猿飛と光が居た。
『おはよーみんな。今日は寝坊しちゃって』
「なまえちゃんが寝坊って珍しいね」
『いろいろあってさー』
ニコニコと笑みを絶やさないなまえはアイドル的存在だ。一緒に居るだけで安心する。
「Hey.なまえ…次数学だろ?教えてくれよ」
『私より政宗の方が頭良いじゃない。学年1位でしょ?』
「数学は苦手なんだよ。お前にゃ負けるぜ?」
しょうがないなーと言いながらも机にノートを広げると他の奴等は群がる。勿論俺も……光以外は。
なまえの教え方に食い付いていれば光はいつの間にか消えていた。
▼
昼休み、俺達が群がる場所は決まって屋上。俺、政宗、真田、猿飛、毛利、なまえ、光。このメンバーが当たり前だ。
「てめェ真田ァ!俺のタコウィンナー食いやがって!」
「片倉殿の料理は美味しいでござるな!」
「ちょっと旦那ー俺様の作った弁当…って食べんの早っ!」
あーまたやってやがる。毎日毎日よく飽きねェこった。つか政宗タコウィンナーって…可愛いなオイ。
「あ、政宗…口元にご飯付いてるよ」
はい、と政宗の口元に付くご飯粒を取る光は世話妬きっつーか…俺達に見せ付けてるっつーか。
「Thank you.光」
……うぜェ。マジでキラキラキラキラ、オーラ出しやがってよ。
『…どうしたの元親』
俺の隣に居るなまえが怖ず怖ずと話し掛ける。
「あ?…何でもねェよ」
『そう?すごい顔してたし、舌打ちもしてたけど……あ、』
俺はンな事してたのか、となまえが何かに気付く。視線の先を見れば政宗と光がじゃれ合って猿飛が真田を止めていた。
『……仲、良いね』
そう言えば付き合ってたよねー、と苦笑する顔が無理に笑ってるように見えて…胸が痛かった。
「…付き合っちまうか?…俺と」
『え…!?』
不意に出た言葉。
なまえの目が見開かれて瞳に俺が映る。
『い、今何て…』
今この目に映ってンのは俺だけ。ちょっとした独占欲に駆られる。だが、
「…冗談だ、バーカ」
本気だなんて言える訳ねェだろ。
『ひ、酷い元親!』
「あ?騙される方が悪ィンだよ」
むぅ、と口を尖らせて怒るなまえ。
『ホント、酷い』
「……っ」
そうだ、やっぱお前は笑ってる方がいい。
「なまえ、俺は「黙らぬか、貴様等」…あ?」
「静かに飯も食えんのか。まったく…耳障りよ、特に長曾我部」
「俺限定かよ!」
イイ感じだったっつーのに…
「こンのオクラ野郎!てめェは光合成でもしてやがれ!」
「ほう、貴様が光合成の仕組みを知っていたとは…」
「俺を何だと思ってンだてめェは!」
「馬鹿しかないであろう」
「…ブッ殺す」
腹立つぜ毛利ィ…いちいち食いかかってき『あははっ』
「……」
甲高い笑い声。見るとなまえが笑っていた。
(…まぁいいか)
お前が笑ってくれンな「キモイぞ長曾我部」
「……やっぱ殺す」
おちゃらけて、笑って馬鹿げてが日常で。これが、当たり前の幸せなんだな。
▼おまけ
「政宗殿ぉおおおお!そ、某のたまごやきがぁああ…」
「HA!ザマアミロ!」
「ちょっと竜の旦那ー、真田の旦那虐めないでよ。てか、それ俺様の卵焼きだから」
「Ah?…猿、これやるよ」
「え、何なに?………バナナ…」
「好きだろ?」
「政宗殿、佐助は猿の癖にばななは食べられないのでござるよ」
「Ah〜?……チッ」
「………………死のう」
キリ番さまからのリクエストでした!
嫌われなのにギャグって…しかも元親視点って…よろしいんでしょうか汗
もしよければ書き直しますので!
では、リクエストありがとうございました!
2012/03/24 加筆