捧げ物 | ナノ



はぁ、どうしよう…



「政宗様ぁあああああ!!」

「小十郎ぉおおおおお!!」



雄叫びのような叫び声と刀の交わる音



「てめェになまえは渡さねェエエ!!」

「それはこの小十郎の台詞にございますぞぉおお!!」



キィン…ガキィイン…

何でこんな事になっちゃったのかな…



私の名前はなまえ一応伊達軍の一員。そして奥州筆頭伊達政宗の幼なじみで…腹心、片倉小十郎の従兄。ごめんなさい…面倒くさくて…
いや、でもね?だからって何で二人が斬り合ってんのって…
私の所為、なのかな…



▼回想



『……』



奥州の冬は厳しい。人肌はものすごく恋しくなる。日も高くなった今ですら布団に潜ってる私。起きないんじゃない、起きれないの。
何か、何か布団に居るのよ…!
あ、今腕掴まれた。



『き、きゃぁあああああ!!』

「どうしたなまえ!」



流石小十郎…最初の「き」の部分で走って来てた…



『ふ、ふ、布団の中!』

「布団…?」



何か居る!と涙目になる私を見た小十郎は瞳孔を開け放ち、「なまえの寝床に入るなんざ百年早ェエエ!」と訳のわからない事を言いながら布団をベリッと剥がした。




『え……』

「な…っ」



と同時に私達は素っ頓狂な声を上げた。
それもその筈…そこには着物がはだけ、ふぇろもん全開な癖に可愛らしい顔で寝ている…政宗がいた。



『「……」』



私達が放心している中、この変態筆頭は掴む私の腕を引き…なんと私を抱き枕にしてしまった。



『な、なななな…!』



近い近い近い近い!
そして小十郎が黒い黒い黒い!ヤバいよ、目から何か出るよ…っ!破壊光線的なものが…!顔だけで人殺せるよぉおおおっ!



『ま、さむね!起きて!』

「Ah〜?……」



この馬鹿宗!変態男!



「誰が変態だ」



凛とした声が響いたと思ったら、左目をぱっちりと開いている政宗が目の前に。
私は開いた口が塞がらない。
するとクックッと喉で笑い出し、私を抱き締める腕の力を強くする。



「Sorry…お前のcuteな顔が見たかったんだよ。good morning.my honey…」



チュッ…という音と頬に感じるもの。そして政宗がぺろりと自分の唇を舐める。………きすされた。



『きゃぁああ!最っ低!』



バチーンッ



「ってェエエ!」



私は政宗の顔をひっぱたいた。そしてズササッと間を取る。
あ、そう言えば小十郎が居たんだっけ。政宗ひっぱたいちゃったから怒られるなぁ…と小十郎の方を見ると…



(鬼!鬼が居る!髪の毛が、ハラッて!ハラッて!)



抹殺もーどになっていた。



「政宗様…俺のなまえに何をしやがっているのですか?」



け、敬語が…敬語じゃない…私でもわかる、小十郎…ものっそキレてる。



「Ah?俺のなまえだからな。当たり前だろ」



何で二人共“俺の”を強調して…ってちょっと政宗!あんた火に油注いでどうすんの!?
そう目で訴えると政宗はニヤリと口角を上げ、再び私を己の腕に抱いた。



「なァ?恥ずかしがんなよなまえ。お前は俺のモンだろ?」

『……っ』



そんな事耳元で言われたら…死ぬ!
ふにゃりと政宗の胸にもたれ掛かるとまた喉の奥で笑っているのがわかる。くそぅ…楽しんでるよ絶対!



「てめ…政宗様!ふざけ…お戯れは止して下さい!」



てめェって言った、ふざけんなって言った!いいの?腹心がそんな事言っていいのぉおお!?



「ぁあ?小十郎…てめェ、俺が戯れでやってるとでも言ってンのか?」



政宗…もうそれただのやんきぃだよ…



「…そうではないのですか?は俺のですから気付きませんでした」



小十郎ぉおおお!
きゃらが違う!そして私はあんたのものじゃないっ!



「てめェ、何回言ったらわかる。なまえは俺のモンだ」



はぁ…私は誰のものでもないし。俺の俺の抗戦が勃発し、いつの間にか刀まで抜刀。挙げ句の果てに双竜が仲間割れ。寒い外でじゃれ合っているのだ。



『はぁ…』



俺の俺のって、私はものじゃないのに。第一…政宗も小十郎も一度だって私の事好きって言ってくれた事ないのに。



「俺はなまえの好きな野菜を知っています!」

「HA!俺はなまえの嫌いな野菜を知ってるぜ!」



……何の戦いよ。小十郎はしょっく受けてるし。

私、は…



『…くしゅんっ』



あ、くしゃみが…って、



『えっ!?』



何で政宗が目の前に…



『え…っきゃあ!』



早々と抱きかかえられすたこらさーと連行されてしまった。



「てンめェエエ!政宗…様ぁああああ…!!」



小十郎…どうしちゃったの…



「…なまえ」



小十郎の叫びが聞こえなくなったのと同時に、政宗が後ろから私を抱き締めた。



『え…政宗…?』



さっきまでの政宗と違う。何だろ、すごく…緊張する。



「I Love you…」

『え…?』



聞いた事のない異国語。



『政宗…はぐらかさないでよ』



聞きたい…
ちゃんとわかるように言ってよ…
懇願するように言えば、私を抱き締める腕が強くなった。



「………好きだ、なまえ」



耳元で、そう発せられた言葉。一番…聞きたかった一言。



『…っ、わ…たし、も…』



本当はずっと、政宗が好きだった。でも…からかわれているようで怖かった(小十郎も)。だから、その気のない振りをしてたの。



「…っ、なまえ!」



グイッと身体が転換し、目の前に政宗の顔が。



「愛してる」



そんな事を言われて嬉しくない女が居るのだろうか。端整で綺麗な顔がどんどん近付いて来る。



『あ……』



「…何をしてンだてめェら」



……………



さぁあ…と血の気が引くのがわかった。



「こ、小十郎…」

「…政宗様、覚悟は出来ておりますな?」



駄目だ。葱を装備した小十郎を止める術なんてない。うん、ごめん政宗。死なないでね!



「ま、待て小十ろ…」



ぎゃぁあああああ!!

その後、下剋上した小十郎により政宗は地の果てまで追い掛けられたのだった。
ちなみに、葱→牛蒡→大根と装備が強力化して行ったとか…



「なまえは俺のものですから」



にっこりと笑う小十郎に、なまえは本気で引いたのはまた別の話…







華主美さまからのリクエストでした!
伊達主従でヒロイン取り合い…主従関係なしになっているでしょうか…汗
キャラ崩壊に加え文もおかしくなってしまいました…orz
こんなものでよければ、いつでも書き直しますので!
では、リクエストありがとうございました!



2012/03/23 加筆



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -