捧げ物 | ナノ



What…?
何だこの状況は。



「……」

「……」

『……』

「おいなまえ、なまえ…?」

『………しゅ』

「しゅ?」



『衆道ォオオオオオオ!!!』



衆道…「若衆道」の略であり、男性による同性愛・少年愛の名称・形態。
別名「若道」、「若色」ともいう。



「「!!??」」



スパーンッッ
バタバタバタバタ……ズベッ…ズッシャァ…

……転けたな。
いや…それより衆道…?俺はゆっくり思考を巡らせた。

……What?
何で…何で、
何で俺の下に小十郎が居やがるんだよォオオオオオオ!!!



そうだ…確か俺は部屋に小十郎を呼びつけた…筈だ。







「Hey.小十郎」

「何でしょう、政宗様」



畑に居たのだろう。
小十郎は両手に葱を鷲掴んでいた。
此奴はいつもそうだ。俺の事になると周りが見えなくなりやがる。
とりあえず葱を置かせ、本題へ入った。



「…お前はなまえが好きか?」

「は……?」



ポカンと口を開ける小十郎。



「どうなんだ?」



目を細くし、睨み付けるように小十郎を見る。
すると小十郎はフッと笑みを零した。



「政宗様…何を勘違いなされて居られるのですか。この小十郎、政宗様が天下を取られるまで…色恋など致しませぬ」



…っつー事は別に好きでも何でもねェんだな。



「小十郎…!俺はお前を右目にして正解だったぜ!!」



つい興奮してしまい、小十郎の元へ一歩踏み出した……が、
小十郎が持って来た葱が俺の足裏へhit。
人間っつーのは、反射神経にも限界があるんだな…
ンな呑気な事を考えてたら……ドシャッ。小十郎の上に覆い被さる形にdiveしちまった。



「……っ、ご無事ですか政宗様」



見ると小十郎が俺をしっかりcatchしていた。



「…Thank you.小十郎…すまねェな」



軽く謝って足の側にあった葱を蹴っ飛ばし(小十郎に怒鳴られたが)起き上がろうと身体を起こした……のだが。



ダダダダダダ…スッパーンッ



『政宗、こじゅ…!』



運の悪い事になまえが来てしまった。



「……」

「……」

『……』

「おいなまえ、なまえ…?」

『………しゅ』

「しゅ?」



『衆道ォオオオオオオ!!!』



スパーンッッバタバタバタバタ……ズベッ…ズッシャァ…



……で、今に至る。



「しゅ、衆道…?」



俺の下の小十郎が呟いた。……ちょっと待て。あいつ…今見たよな?

俺は少し考えた。
俺→小十郎を押し倒した…?→なまえ、それを見る→……誤解する。



「Nooooo!!待てなまえ!!!」

「ぐはぁっ!!」



小十郎の呻き声という名の吐血(政宗がなまえを追う為駆け出したら、手やら足やらが小十郎の身体の節々にhit!)をしていたが勿論無視。政宗は小十郎の骸を放置し、光の如くなまえを追い走って行った。



「……」



小十郎は政宗の足音を聞きながら、ゆっくりと目を閉じたのだった。







『私は何も見てない私は何も見てない私は何も見てない…etc.』



なまえはおでこを赤くしながらぶつぶつと呟き、廊下を行ったり来たりしていたのだった。



「……なまえ!!」



グイッと引っ張られる感覚があったと思えば、後ろから政宗が息を切らして私の腕を掴んでいた。



「なまえ、誤解だ!!」



必死に弁解する政宗に、なまえは思った。
そうか……照れ隠しなんだ、と。
確信したなまえは、痛む胸を不思議に感じながらポンッと政宗の肩に手を置いた。



『大丈夫よ、政宗』



そう言って笑うなまえに、政宗は誤解が解けたのだと安心するが…次の一言でその安心は一気に消え去った。



『…私は応援するから!男同士でも恋愛だもんね!い、以外とお似合いだから安心して?』



いや待てェエエエエ!!
何が安心して?だ!
畜生…どもるなまえも可愛い…いや違ェ!!

小十郎とお似合いだ…?う……っ、考えただけで吐き気がしやがる…



「No!!あれは誤解だなまえ!!」

『いいよ、そんな弁解しないで!きっとみんな認めてくれるよっ』



にこやかに言うなまえに、俺は脱力する。

言葉でわかんねェなら…身体に教えるしかねェな。
引き攣る顔に力を入れ、なまえの身体を俺に向かせた。



『どうしたの?政宗』



キョトンとした顔で俺を見るなまえ。俺と小十郎が恋仲だと…?
誤解でもそう言うお前に腹が立つ。俺が好きなのは…



「俺が好きなのは、お前だ」

『……え?』



キョトンとした顔の次は驚きの表情が。



「……I Love you.なまえ」



そう呟いて頬にkissを落としてやった。



『ひゃあ…っ!?』



おいおい……今のは反則だろ。



「cuteじゃねェか、なまえ」



ニヤリと頬が緩むのがわかる。



『え…?ちょっ政宗!?…きゃっ』



女らしいvoiceにドキリとしながらなまえの足と首に腕を回し、抱き抱えた。俗に言う姫抱きだ。

なまえを見れば顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
それが可愛いくて、また頬にひとつkissを落とす。



『……にゃっ!』

「………お前狙ってンだろ」



そう小さく呟くと、俺は部屋へと向かった。



『ちょっ、ちょっと政宗!?どこに「俺の部屋だ」え…っ』



俺がそう言えば、なまえは何かを察したように固まる。



『わ、私…まだ返事してないよ!』



精一杯の抗議に、俺は笑った。
そして挑発気味に笑いながら言葉を繋いだ。



「お前、俺の事好きだろ」

『!!』



まるで図星だったように目を丸くするなまえ。
正直賭けだったが…俺はその賭けに強かったらしい。



「俺と小十郎を恋仲なんざ言いやがったんだ。オトシマエはつけてもらうぜ…you see?」



意地悪く笑えば、なまえは俯いていた。
その顔は真っ赤で熱い。
フッと笑みを零しながら足を進めれば、なまえは俺の胸へと顔を寄せて…



『……好き』



と、か細い声でそう言った。



「……!」



一瞬目を見開いて見れば、照れながらヘラッと笑うなまえが居た。



「……(cute!cute!cute!cute!…)」



顔が熱くなるのを隠しながら、足早で部屋へ直行した。



(……愛してる)



そう心の中で呟いて。



▼部屋にて。



「…っ、まさ…むねさま」



まだ気を失ってる小十郎は、そううわごとで政宗の名を呼んでいた。



(Shit!小十郎が居たの忘れてたぜ)



軽く舌打ちをしながら、抱えていたなまえを降ろす。



『…小十郎って意外に無防備…』



可愛い、と言うなまえに俺は苦笑。
早く二人きりになりたいという願望に、小十郎は…邪魔だった。(Sorry…)
担ぎ上げようと近付けば…ぐぁ゛、と唸る。



「…政宗様…いい加減、小十郎の上から…退いて下さい…ま、せ…」

『「!!!」』



こ、小十郎ォオオオオオオ!!
てめェは何を…はっ…なまえ!
ゆっくりとなまえの方を向けば…なまえは固まっていた。



「Hey.なまえ…?」

『………しゅ』

「しゅ…?」



…こんな事がついさっきあった気が。



『衆道ォオオオオオオ!!』

「なっ!?」



またかよォオオオオオオ!!!

ダダダダダダ…



『うわぁああああんっ』



ダダダダダダ…

なまえは泣きながら走って行った。
俺は一人、部屋に佇む。怒りは全て奴に向いた。



「小十郎ォオオオオオオ……!!」

「……あ゛?…っ政宗様、どうかなされましたか」



ゆっくりと深い眠りから醒めた小十郎は政宗に問う。



「小十郎……死に腐れやァアアアアアアア!!」

「なっ、政宗様!?お待ち下さい!待っ…」



ぎゃあああああああ!!!

豹変した政宗に、小十郎は問答無用で殺されかけた…らしい。
ちなみに政宗は小十郎を気が済むまで無視し、城では必死になまえの誤解を解く政宗の姿が見られたとか。それから誤解が解けたのは約一週間後の事だった……

小十郎は…まぁ、畑に居る時間が前よりも長くなったと言っていた。



勘違いもほどほどに。
する方もですが、させる方も気を付けましょう。
特に天然鈍感ちゃんには…



(苦労するぜ……)



改めて学んだ政宗だった。







ミキさまからのリクエストでした!
…すみません、読み返したらもうどれだけ拙い文なのか……orzorzorz
今と違い過ぎて軽く自分でも引きました(^O^)
加筆修正しましたが、あまり意味がない…お気軽に書き直ししますので!ではありがとうございました!



2012/03/23 加筆



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