「さあ、次は何をして貰いましょうか」
ニヤニヤと、いやに高そうなカメラを持ちながらメフィストさんはそう言った。
『も、もう許してください…』
「おや、ご主人様に許しを請うのですか?これはなかなか……萌えますね」
『……』
何で、こうなったの…
…確か、いつもメフィストさんに翻弄されてばかりだから、私が唯一勝てるもので勝負しようと言ったんだっけ。
ゲーマーなメフィストさんにカードゲームなら…!そう思って勝負したのはババ抜き。
これでやっと勝てる!…と思ったら、10勝10敗の完全敗北。
もう一回、もう一回と頼み込んでも負けるのに変わりはなく…
『私が勝ったら、何でも言う事聞いてくださいね!』と含み笑いしてた私の目の前に、含み笑いしたメフィストさんが居た。
「涙目のなまえも可愛いですねぇ…」
もう一枚…とパシャリ、カメラを撮るメフィストさん。…の前で私はメイドさんの服を着ている。
「…私が勝って何も無し、というのは少し割りが合わないと思いませんか…?」
と、有無を言わさない目でそう言われては断れる筈もなく。
…という訳で、私は今メイドさんの服を(いやいや)着ている。
『も、もう十分撮ったじゃないですか!お願いです…メフィ……ご、ご主人、さま…』
「……ぐはっ」
『え?』
はた、とメフィストさんを見ると赤い何かが鼻から滴っていた。
「ククク…やはりメイドさんにして正解でしたね。なまえの口からご主人様という言葉が聞けるとは…!」
『……(メフィストさんが言えって言ったのに…)』
ボタボタと血を流す鼻をティッシュで拭って、メフィストさんはドサリとソファに腰掛けた。
「なまえ、来なさい」
『え…もう言う事聞いたじゃないですか…!』
「まだ二つ目だ。十回勝ったのだからあと八つは言う事を聞いて貰わないと…な」
『…!あ、悪魔…っ』
クク…と笑う悪魔は、面白そうに目を細めながら私の手を引いた。
『は、恥ずかしい、です…メフィストさ…』
顔を俯かせて呟く私の前にはメフィストさんの顔。
私はメフィストさんの膝の上に、正面になって乗っている。
「私はそうでもないですが…誰か来たらそれは恥ずかしいでしょうねぇ」
『…!や…っ』
身を捩るように動けば、それを許すまいとすかさずメフィストさんの腕が私の腰に回される。
「冗談ですよ」
可笑しそうに笑うメフィストさんにカァ、と顔が熱くなるのがわかった。
「貴女が可愛いのが悪いんです」
ちぅ、と目尻や頬に口づけられる。それが気持ち良くて広い胸に顔を埋めれば、メフィストさんが笑った気がした。
「まったく…ご奉仕するのは貴女だというのに」
『ん…』
たくさんの口づけに酔っていれば、ぐいと身体を持ち上げられてそのまま唇にかじりつかれた。
『んぅ…!?んん…っ』
急な口づけに予想していなかった私は、一瞬息の吸い方を忘れてしまったように、メフィストさんの服をぎゅうと掴む。
『はぅ…ん、ふ…っ』
無理やり捩じ込まれる舌を一生懸命受け入れながら、精一杯付いていこうと舌を絡ませた。
『ひぅ…』
ちぅ、というリップ音の後にトサッとソファに押し倒されて、首筋を甘噛みされる。
『ん…っ』
涙の膜が張る中、うっすらとメフィストさんを見上げれば、さっきとは違う…男の人の目をしていた。
「……なまえ、」
愛していますよ、と繋ぐ唇。
途端に愛おしく思える自分に、単純だなと苦笑した。
『…私だって、愛してます』
どうやらそれは、惚れた弱味だったに違いない。
そう思ったらちょっぴり悔しくて、主導権を握るこの人の唇に今度は私から口づけた。
つまりは全部、
あなたを愛する故に。
(……)
(ふふっ、メフィストさん可愛いです)
(……ククク)
(…?)
(…よくもやってくれましたね。では私も、手加減はしませんよ…?)
(え、メフィスト、さん…?)
(さあ…朝までゆっくりじっくりこってり可愛がって差し上げましょう…!)
(ヒッ…!)
春野さまへ捧げます!
結局何がしたかったのかイマイチわからないものになってしまいましたが…泣
変態甘を目指したつもりです(笑)
こんなエセメフィですが、よろしければお持ち帰りください!^^
では、この度は相互ありがとうございましたー!
2011/09/20
2012/03/27 加筆