捧げ物 | ナノ



『ねー、修兵』

「どうした?」

『…何でもなーい』

「…?変な奴だな」



ソファの上に腰掛ける修兵が苦笑混じりにそう言う。
…名前呼びたかっただけだって言ったら、笑うでしょ?
隣に座る私はコテンと修兵の肩に寄りかかった。



「なまえ?…今日は甘えん坊だな」

『………だめ?』



私より頭数個高い修兵を見上げれば、白い歯を見せるようにニッと笑って、



「いや?寧ろ嬉しい」



と、私の頭を撫でてくれた。



『ん…』



修兵の手はあったかい。あったかくて大きくて、大好き。



『ね、しゅうへ』

「ん?」

『大好き』

「……俺も」



とろんとする目で修兵を見れば、私の前だけでする…柔らかくてとろけそうな笑顔があって、



「なまえ、好きだ」



まるでスローモーションのように、私の唇へ修兵のものが重なった。



『ん…しゅ、う』



袖のない肩に寄りかかっていた私の頭は、いつの間にか修兵の手に抱かれていて、



「……は、」



お互いの唇からは甘い吐息が漏れる。



『ふ、は…』



最後は触れるだけのもので終わるのが修兵の癖。
私はそれが好き。



『…ふふっ』

「なんか嬉しそうだな」

『だって…』



こんなにも幸せなんだもん。そうはにかんだら、修兵は一瞬目を見開いて、



「…俺も、すげえ幸せ」



広くて暖かい胸に私を収める。



『……なんか、眠くなって来た…』



いつの間にか修兵の膝の上に乗っていた私の呼吸は、修兵の頭を撫でる手と同じリズムに動いてる。



「ん、寝るか?」

『……う、ん』

「じゃ…俺も寝る」

『ん…おやすみ、しゅう…』

「ああ、おやすみ」



目を閉じれば修兵の匂いと暖かさに囲まれてるようで。
私はすぐに夢の中へと旅立った。







『ん…しゅ、う』

「……(寝れる訳ねえだろ…生殺しかよ)」
『…だい、す…き』

「…!…ばーか、俺もだ」



休日の午後。
幸せを感じる瞬間。







一華さまへ捧げます!

修兵くんで甘々に仕上げてみました!
ほんわかな雰囲気を楽しんで頂けたら嬉しいです!

では、これからもよろしくお願い致します!



2012/03/27 加筆



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