『阿近さーん』
「うるせえ」
『ひどい。名前しか呼んでないのに』
「お前がそうやって俺の名前呼ぶ時は大抵何かしらあるだろ」
『流石阿近さん。私の事よく知ってる!』
「…殴るぞ」
えへへーと笑うと途端に睨み付けられた。今日はなかなかに不機嫌だなあ。…あ、そう言えばさっき一角さんが来てたな。多分それだ。
『阿近さん阿近さん』
「何だ」
『今日は私が労ってあげますよ』
「遠慮する」
『で、考えたんですけどね』
「俺の話聞いてたか?」
呆れた口調を無視して私は阿近さんの目の前に立ちながらにんまりと笑った。
『阿近さんの言うこと何でも聞いてあげます!』
「…は?」
『阿近さん感謝デーってことで。さあ!何でもこい!』
バーン!と両手を広げてどや顔。うぜえと阿近さんに張り手食らったけど私めげない。泣かない。
「何でも、ねえ…」
『マッサージでも相談でも下ネタでも!』
「最後のお前の願望だろ」
……ばれた!
舌出して笑ったらまた張り手されそうになった。流石阿近さん、女相手でも容赦ない。
「…じゃあ」
お、初めて阿近さんが私の提案に乗った!ウキウキして頷いてたら、ちょっと自分の耳を疑った。
「跪いて上目遣いしながら俺の靴舐めろ」
今まで見たことのない笑顔を浮かべた阿近さんがこんな事を言うなんて。そりゃ自分の耳疑うでしょ。
『……よ、』
「ん?」
『よろこんで…!』
ほんとにやろうとしたらマジな顔した阿近さんにドン引きされた。…私負けない。
阿近さんと「願望」
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