『阿近さん』
「何だ?」
『私死んでもいいから阿近さんの角が触りたいです』
「じゃあ死ぬか」
目の前にあったメスをキラリと光らせた阿近さんの目がマジだったので素直に謝りました。阿近さんコワイ。
『じゃあ角歴史語ってくださいよ』
「何だ角歴史って」
『…手入れ、とか』
「するわけねえだろ」
すかさずツッコミが入った。流石阿近さん、抜かりない。そんなあなたが好きです。
『じゃあじゃあ、生まれつきですか?』
「…いや」
『え、違うんだ』
「まあな」
素っ気なく答えると、阿近さんはファイルを開いて仕事を再開した。どうやら角な話題はお気に召さないらしい。うーん。
『…角かっこいいのに』
「…あ?」
私の呟きが聞こえたのか、阿近さんは視線を私に移した。少しだけ目を見開いていたのには驚いたけど。
『私阿近さんの遺伝子欲しいです』
「なに下ネタ噛ましてんだお前」
『え、遺伝子って下ネタですか』
「…捉え方によるな」
ふ、と笑う阿近さんめちゃくちゃかっこいいです。ほんとに阿近さんの遺伝子というか阿近さん欲しい。
「で、なんだって?」
パタリとファイルを閉じてにやにやと笑みを漏らす阿近さん。…厭らし過ぎる。
『阿近さん私と結婚しませんか』
とりあえずそう言っといたら私の真横をファイルが通り過ぎました。手が滑ったのレベルじゃないよ阿近さん。
阿近さんと「雑談」
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