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これは決定事項である。

私苗字名前は、勝呂竜士が大嫌いだ。

…え、何故かって?
それはあいつが京都出身だからだよ。
それともうひとつ、

私が生粋の大阪府民だから。



『毎日毎日懲りずにうっさいなぁ』



うるさい程に談笑していた男の背へそう投げ掛けると、ぴくりと肩を揺らせながら振り返った勝呂はこれでもかというぐらい顔を歪ませた。



「…なんやと?お前かてうるさいやないか。下品な言葉遣いやめぇ」

『おい鶏冠頭。今なんて言った?世界中の大阪府民に謝りィ!』

「ハァ?意味わからへんわ。何で謝らなあかんねん」



周りからはまた始まったと思われているであろうこのやり取り。目の前の鶏冠頭こと勝呂竜士と睨み合う私は初めに言った通り、この男が嫌いだ。こいつも生粋の京都人だし、何せ方言の違いである。
下品な言葉なんぞと大阪を侮辱する勝呂竜士…許すまじ!



『京都弁かてそないに変わらへんやろ!下品言うんならあんたらかて下品や!』

「お前らと同じにするんやない!所詮たこ焼きとお好み焼きしかないクセになァ!」

『関係ないやろ!それにしかないてどういう事や!通天閣かてあるし食い倒れさんも居てはるわボケェ!八ツ橋しかない薄っぺらのあんたらと一緒にされてたまるか!』

「なんやと…!?」



徐々にヒートアップしていく口論に比例して周りが止めようとしてくる。…が、そんな事は関係ない。



『第一その鶏冠は何なんや。京都人はみんなそないけったいな頭しとるん?まるでギャグやな』

「グッ…誰が鶏冠や!しかもギャグてなんやギャグて!」

『そのまんまの意味やけど?まあそのクオリティならオヤジギャグの方がマシやな…ぷぷ』

「ほんま腹立つ…!」



あーおもろい!
プルプルと震える勝呂がおかしくて口を押さえながら笑いを堪えていると、すぐそこで傍観していた志摩がぽつりと呟いた。



「意外に気ぃ合うとるなあ…喧嘩する程仲がええてあながち間違ってないんとちゃいます?」

「…確かに、端から見ると仲良さそうですもんねえ」



…三輪の受け答えに全身の震えが止まらなくなった。
ちらりと横を向くと…どうやらそれは勝呂も同じだったらしい。



『……』

「……」

『…気持ち悪』

「…そんなん、俺もや」



ゾッと背中を駆け巡る悪寒にとりあえず私は心の中で京都のみなさんに謝っておいた。

…結論、やはり私は勝呂竜士が嫌いである。



喧嘩する程仲がいい



なんて信じてる訳やない。……断じて!



((…なんや妙に意識するんやけど))
((なんや妙に意識してまう…))
(…なに)
(…別に)







京都出身な坊と大阪出身なヒロインちゃんとの絡みが書きたかった結果。



2012/04/09