※パロディ注意。
同棲生活3年目。
シンプルな部屋に初めて置いた可愛らしい置物は、今ではもうすっかり場に馴染んでる。
視界に入ったそれに笑みを浮かべながら最後のお皿を洗い終えた。
「名前」
ベッドに腰掛ける修兵がちょいちょいと手招きして私を呼ぶ。
なあに?とお気に入りのエプロンを椅子に掛けて近づけば修兵はポンポンと自分の膝を叩いた。
「ここ、座って」
『うん』
おいでというように腕を広げる修兵が可愛くて、くすくすと笑いながらソッと膝に座るとお腹に腕が絡められた。
「甘い匂いがする」
『うん、お皿洗ったからね。おいしそうでしょ?』
「そうだな。名前の手ごと食っちまいてえ」
『…ばか』
首筋に顔を埋めて笑う修兵に身を捩る。
好きだよ、俺も、なんて端から見たらバカップルみたいな会話をしながら、そんな甘い時間に酔った。
「…名前」
『ん、なあに?』
声色が少しだけ真剣になった修兵に首を傾げると、ひょいと腰を持ち上げられて向き合う形に膝へ乗せられた。
『しゅう…?』
「…俺さ、名前の事すげえ好き」
『…うん』
揺らぎのない瞳にトクントクンと心臓が音を立てる。
私もすげえ好きだよ、と笑うと修兵は小さくはにかんだ。
「名前は可愛いし、飯も美味いし優しいし、俺のもんでいいのかって思う時もある」
『…ひどい。修兵だってたくさん女の子にモテてたじゃない。私、元々釣り合ってないもん』
「ははっ、お互い謙遜してんな」
…謙遜なんかじゃないもん。
だから、私を選んでくれた時は本当に嬉しかった。ずっと、ずうっと片想いしてきたの、修兵は知らないでしょう?
「……名前は、俺が護んなきゃいけねえもんな」
『…修兵が、護ってくれるの?』
「ああ、俺が一生護ってやるさ」
嬉しい。一生護る、なんて口説き文句を愛しくて愛しくて堪らないあなたから聞けるんだもの。
「…だから、俺と結婚してください」
『、え…?今、なんて…』
唐突に告げられた言葉の意味を捉えられなくて呆然とする私に、修兵は苦笑してポケットから小さな箱を取り出した。
「本当はもっとロマンチックにプロポーズしたかったんだけどな」
イタリアンで食事してから夜景で…なんて冗談混じりに言う修兵に、私はただ目に涙を溜める事しかできない。
『…っ、ほんとうに…?』
「ああ。…名前、俺と家族になろう」
『しゅ、う…』
「…返事、聞かせてくれねえの?」
よしよしと背中を撫でる手に涙を拭いて、柔らかく笑む修兵に向き合う。
『不束者の私で良かったら…貰って、あげてください』
「クッ、何だよそれ。俺は名前がいいんだから、二人で絶対…幸せになろうな」
『うん…っ』
愛してるよ、と囁く唇にソッと口づけて頬に手を這わせる。
照れたように笑いながら、私の左手を取って優しい王子様のキスを。
サイズぴったりの指輪に頬を綻ばせながら、私はこの人と生涯を共にする事を夢見た。
修兵×プロポーズ
ちょっと書いてみたかったネタ。
2012/03/16