※パロディ注意。
坊が警察官。
『…あれ、牛乳ない』
カパッと冷蔵庫を開けると、目当ての牛乳はいつの間にかなくなっていたらしい。
…しょうがない。
『コンビニ行こう』
所変わってコンビニへの道のり。
現在午後10時な訳なのだが、…暗い。ひたすら暗い。
今更思うが牛乳ひとつに女一人で夜道歩くって逆に勇者だよ私。
『これも…牛乳の為だ』
うん、カルシウム大事。カルシウム万歳。
とりあえず恐怖を紛らわせる為に牛乳の事だけを考えよう。
『…もうちょーい』
目の前に現れた24の文字に軽く涙が出そうになった。…いけねいけね。
『牛にゅ「オイコラそこのお前」…はい?』
ガシッと肩に感じる違和感と声。
…ちょっと。私早く牛乳買わないといけないんだけど。
『何です……』
クルリと振り返った私の目に入ったのは、イカツイ顔をした…警察官だった。
『……ホワイ?』
「…何しとるんやお前」
『…え、え?コンビ…え?』
引き攣る顔で目の前のコンビニを指差すと、おじさん警官は眉間に皺を寄せて持っていた用紙に何やらメモをし始めた。
「ちなみに俺はおじさんやないからな」
『すんませんでした』
オニイサンね、オニイサン。…うわあ怖い。いろんな意味で。
「まったく…危ないやろが。子供がこんな時間に外出歩いとったら」
『……え、子供?』
「見た感じ……中学生やろ?」
『………』
…え、何言ってんのこの髭面。
ち、中学生…だと?
『私しゃれっきとした社会人だドアホがァア!』
「ドア…って、社会人!?……あり得へん、詐偽や」
ボソリと呟いたその言葉、そっくりそのまま返してやる。
あんただってどう見ても三十路過ぎだろ!
「だっ、誰が三十路過ぎやボケェ!お前失礼過ぎるやろ!」
『どっちが!確かに私は年より若く見える(らしい)けどねえ、中学生なんて言ったのあんただけよ!目ぇ悪いんじゃないの!?』
「なんやと!?」
相手が警察官だという事も忘れて言い争う私と髭野郎。
此処まで来た理由さえ忘れてギャーギャーと罵声を浴びせ合う事約30分、やっと熱が冷めて冷静になってきた。
『ああもうこんな時間じゃん…!』
「…何でこないなくだらん事で言い争っとったんや俺…」
お互いに頭を抱え合うと、警察官さんはふと苦笑して「堪忍な」と謝ってきた。
『え?』
「元は俺の勘違いからやったし…ほんま堪忍な」
『……!』
くしゃりとはにかむこの人に、トクリと心臓が音を立てる。…え、何で?
「ほな俺は行くわ。遅くならへんようにせえよ」
『あ…』
背を向けて歩き出す彼に、何故だか私は離れたくなくて。
気づいた時にはその背中を追い掛けて服を掴んでいた。
『…あんたの名前、教えてよっ』
まさかそれが恋だったなんて、その時は知りもしなかった。
勝呂竜士×警察官
名前変換がない事に気がついた。
2012/03/07