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from:柳蓮二
sub:おはよう
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今日からだな。
お互い頑張ろう。
朝一番で届いたメールを眺めていると、自然に頬が綻んでいくのがわかる。
to:
sub:おはよう!
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そうだね。
蓮二くんに教わっ
たところくらいは
解けるようにがん
ばる!
そうしてくれ、と飾り気なく返ってきた返事に笑いながらわたしは家を飛び出した。
「…なんじゃなまえ、今日はやけにご機嫌じゃのう」
開口一番にそう言ってきた仁王くんが少しやつれて見えるのは気のせいだろうか。あはは、と曖昧に笑うと小さく溜め息を吐かれた。
「テストいやじゃあああ…」
『ああ、そっか』
「…なまえ、余裕なんか」
『蓮二くんに教えて貰ったからね』
「……」
あ、そう言えば仁王くんが蓮二くんに言ってくれなかったら教えて貰えなかったんだよね。…よし、
『ありがとうね、仁王くん』
「なん?」
『蓮二くんに言ってくれたんでしょ?わたしが理数科目苦手だって』
「あー…」
『だから、そのお礼』
にっと笑ってやると、仁王くんは目をぱちくりさせてふにゃりと笑った。…かわいいな。
「悩みは解決したんか?」
『え…』
「…俺、なまえの事ならなんでも知っちょるよ」
『……そうだね』
いつも仁王くんにはバレてたもんね。
机に突っ伏したままわたしを見上げる仁王くんのふわふわな頭を撫でて、わたしは大丈夫だよと笑った。
『もう、大丈夫。やっとわかったから』
自分がどうすればいいのか。やっと、気づいたから。
「…ほーか。んじゃあ決着ついたら、報告よろしくな」
『…うん!』
約束じゃ。そう小指を絡めて指切りげんまーんと歌い出す仁王くんに、またわたしは小さく笑った。