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どうすればいいんだろう。その言葉ばかりが頭の中で反響する。
はあ、と溜め息を吐いたら目敏い仁王くんがシャープペンでつんつんとわたしを呼んで小さな声で話しかけてきた。ちなみに今は数学の時間だ。
溜め息ばっか吐いとると幸せ逃げるぜよ。
もう逃げてるからいいの。
…なんじゃなまえ、反抗期か?
仁王くんだけにね。
可愛くないのう。
ありがとう。
ぷいっとそっぽを向くと、流石にカチンときたのか仁王くんはまたシャープペンでわたしをつついてきた。けど、その前に先生に当てられてた。笑ってやった。そしたらなんかホッとした顔になるから、ああ心配させてたんだなってわたしはそこでやっと気づいた。
『…ごめんね、』
呟くと、仁王くんは先生の隙をみてわたしの頭を優しく撫でてくれた。