Lover's Letter | ナノ




05



朝、いつものように学校へ行く用意をしていると、携帯から着信を伝えるメロディが流れてきた。この音はメールかな、と思いながら学校に行くにあたってマナーモードに設定して髪を整えながら携帯を開くと、どうやら知らない人からのメールだった。…迷惑メール?



『あれ、でもアドレス普通だ』



疑問符を浮かべながらカチカチと本文を開くと、一瞬携帯を落としそうになった。



from:yr.****
sub:柳だ
−−−−−−−−
おはよう



………え?



『あ、なるほど。柳っていう人からの迷惑メールか』



そうだよね、だってわたし柳くんにアドレス教えてないし。まったくもう性質が悪いなあ。引き攣る頬に頭で自己完結しながら仕度していると、机の上で携帯が震えた。



from:yr.****
sub:柳蓮二だ
−−−−−−−−
仁王からアドレス
を聞いた。



…仁王くん、わたしあなたと友達やめたい。



『…え、どうしよう』



まさかのご本人だったなんて。…とりあえず返信した方が…いい、よね。



to:
sub:Re:
−−−−−−−−
おはよう。
ごめんね、迷惑メ
ールかと思った。



…ちょっと直球過ぎるかもしれないけど、まあいいよね。送信ボタンを押す前に、「飾り気ないメールじゃのう」と仁王くんに言われた事を何故か思い出してしまった。…せめてもの飾り気として猫の絵文字をプラスしておこう。
…ああ、朝から疲れた。



その後学校に着くまでに柳くんとメールを交わした数は数知れず。無言の登録要求にわたしは渋々ながら彼のアドレスを登録した。や行に一人、柳くんの名前があるのに少しだけ擽ったさを感じながら。


 


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