03
「あっははははははは!!」
朝の登校時、教室に響き渡る笑い声にわたしは泣きたくなった。
「おま、お前さんばかじゃのう…ぶふっ!」
『誰かー幸村くん呼んで来てくれない?仁王くんが悪口言ってたよって』
「じょ、冗談じゃ!幸村だけはやめて!」
バンバンと机を叩いてお腹を抱えながら笑い転けていた仁王くんが、わたしの腕を掴んで必死に頼み込んできた。…恐るべし、幸村くん。名前しか知らないけど。
「…で、参謀はどうしたんじゃ?」
『さんぼう?』
「柳の事ぜよ。なんじゃなまえ、知らんのか?」
こくりと頷くと、仁王くんは一瞬目を丸くさせていつものように笑った。…うーん、さんぼう。
「簡単に言えば愛称じゃよ。ま、そんなかわええもんじゃないけどな」
『さんぼう…』
「あとはマスターじゃな」
『マスター…!』
す、すごいな柳くん。そう言えば仁王くんと同じでテニス部だったっけ。一年生の時ちょこっと話す程度で練習してるとことか全然見ない(というか真田くんしか見えてない)けど。
「で、」
『で、…?』
「そん後はどうなったんじゃ」
『………』
…言うべきか、言わざるべきか。多分仁王くんの事だからほんとの事言わないと逃がしてくれないだろうな…
はあ…と息を吐いて、出来るだけ仁王くんに視線はやらず俯きがちにわたしは口を開いた。
『………つ、』
「つ?」
『……付き合うことに、なりまし、た』
泣く泣く絞り出した言葉に、今度は仁王くんの驚き溢れた叫び声が教室に響き渡った。あれ、仁王くんてこんなキャラだったっけ。