珍しい…、普段仮眠程度にしか睡眠を取らないメフィスト様がここまで熟睡してるなんて。ぱちくりと瞬きを繰り返す私の目の前には頭まで布団を被った主人の姿。小さく笑みを溢しながらも今日の予定を思い出して、時計に目をやりつつ起こす事にする。…すごく、もったいないような気がするけれど。
「(もう少し寝かせてあげたいけど…ごめんなさい)…メフィスト様、朝ですよ。起きてください」
ゆさゆさと身体を揺らして声を掛けるも反応はない。うう…気が引ける…勝手ながらも午前中の予定キャンセルしちゃおうかな。なんて苦笑混じりに考えていたら、くい、と腕を強い力で引かれて、声を上げる暇もなく布団の中へとダイブした。
「〜〜っ、え、なっ…」
「おはようございます、なまえ」
パチン、とそれはそれは清々しい程のウィンクを浮かべるメフィスト様がにんまりと笑みを携えて私の下に……下?
「ご、ごめんなさいっ、すぐに「ああ、大丈夫ですよ。それになまえの所為じゃありませんからね」
いつの間にかメフィスト様を跨ぐようになっていた体勢。そう言えばさっき腕を引かれたような……に、しても。
「…どこ、触ってるんですか」
「おや、なまえのキュートなヒップですが?」
「朝から盛らないでください」
「いやはや、久しぶりに熟睡していたらなまえの声が聞こえましてね。つい」
「話が通ってな…ひぃっ」
おや、失礼。なんて言いながら触っていたお尻から、つつ、と下着の上へ流れてきた手にびくりと身体が跳ねる。いつの間に捲り上げたのか、どうやら私は今下着一枚で布団の中に居るらしい。
「こ、の…変態!」
「人聞きが悪いですねえ…それに貴女まだ仕事中でしょう。ご主人様と呼ばないと減給ですよ」
この野郎職権濫用じゃないの。パワハラで訴えるわよ。なんて心の呟きは口から発される事はなく、出てくるのは熱っぽい吐息と小さな喘ぎ声だけ。
「…なまえ、案外ソノ気になってるんじゃないですか?」
「な、に、言って…っ、ぁあっ」
つぷ、と下着越しに挿入された長い指。掠める長い爪がどこかもどかしくてむずむずする。そんな心情を悟ったのか、メフィスト様はくつりと意地悪く笑って、その長い爪で上の突起を弾いた。
「ひっ、あぅんっひああっ」
「必死に堪えるなまえも可愛いですが、私的には素直ななまえが一番可愛いですよ」
何が素直だ。無理矢理そうさせてるのはあなたでしょう。キッと睨み付けるように上を見上げてやる。それを見越していたのか、男の身体に付けていた腕が取られ、全身が前へと移動した。ぐるりと視界が反転し、パサリと布団の落ちた音を耳が捉えた時、唇に荒々しく口づけられた。
「ふ、…んんっ」
「……は、」
執拗に舌を追い回され、つかまえたと言わんばかりに絡め取られ吸われる。とろとろに溶けきったのをよしとしたのか、ふ、と鼻で笑われた気がした。
「…ああ、やはり素直な貴女が一番愛らしい」
オタク丸出しな寝間着をはだけさせ、ぺろりと唇を舐める仕種を見てしまえば、どうしても拒める筈はない訳で。とりあえず、午前中の予定はキャンセルね、と腹を括るしかなかった。
寝起きドッキリ理事長
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ちよさまからのリクエストでした!
ここまできての本番なしですみません…!お気に召していただければ嬉しいです。
では、ネタ提供ありがとうございました!
2013/02/26