愛玩ベイビー | ナノ

「…隊長、離してください」
「えー」
「えーじゃないです。仕事が出来ません」
「ええやん、イヅルがやっといてくれとるし」
「吉良副隊長が可哀想過ぎるんですよ!」


覆い被さるように後ろから私を抱き締める隊長の耳元でそう叫んでやると、「うるさいでー」なんてからからと笑われるものだから頭が痛くなる。ただでさえこんな動きにくくて恥ずかしい格好をしている私は早くこの状況を回避したくてたまらないのだ。


「私早くこの服脱ぎたいんですよ!」
「あかんよ。折角ボクがなまえの為に買ってきたったんやから」


そうだ。私が何故こんな羞恥しか感じないものを着ているのかというと、この狐目隊長のせいなのだ。さっきまで一人でふらっと現世に行ってきたかと思えば、「なまえにええの買ってきたで〜」なんてにやにやしながら半ば無理やり私にこの服を押し付けてきた事が始まりだ。広げて見てみてあらびっくり、とはまさにこの事。頬が引き攣るのを感じながら私はめいど服とやらを隊長に投げつけた。…のだが。いつの間にか私の背後に回っていた彼はあろうことか私の死覇装を投げ捨て、すっぽりとふりっふりなこの服を私に着させたのだ。なんたる早業、なんて感心した自分を殴りつけたい。…と、いうので現在進行形で私は彼に後ろから抱き締められている。意味わかんない。


「はーなーせー!」
「なまえ敬語忘れとるでーボク隊長なんやけど」
「隊長ならこんな事しないでしょうが!」
「んー?なんか言うた?」
「ぎゃあああ服捲るなあああああ!!」


くつくつと楽しそうに笑いながらスカートを捲ろうとする隊長になんとか逃げ出そうと試みるが、なんとまあそんな細腕のどこに力があるの、というくらいの力で引き寄せられてがっちりホールド。かいらしいなあなんて言いながら頬擦りまでされて、ほんとこいつ、殴りたいなんて拳を握り締める私に、執務室から出てきたのであろうげっそりとした吉良副隊長がふっと笑みを溢しながら言った。


「……いい加減仕事してください」


…あの、なんか、すいませんでした。



狐目隊長メイド服



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イチゴさまからのリクエストでした!
ギンは初めて書いたのですが、お気に召して頂けたら嬉しいです。
では、ネタ提供ありがとうございました!



2012/07/23
2013/02/09 加筆
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