『…今、なん、て…?』
-Sixth day-
唐突に告げられた言葉は、私の思考を停止させるに十分過ぎた。
「今言った通りだ。…苗字、お前は今日付けで移隊になった」
『い、移隊って…じゃあ私は、十一番隊に戻るって事ですか…?』
「…ああ」
低く呟いた肯定の言葉。私と目を合わせない阿近さんを見ればわかる。本当だって、事ぐらい。
『…そう、ですか。急ですね…』
「悪ィな。本当は早いとこ伝えたかったんだが、仕事が重なって今伝える羽目になっちまった」
『いえ…大丈夫、です』
…そうか、もうさよならなんだ。
もう少しぐらい、此処に居てもいいかなって思えたんだけどな。居心地も悪くなかったし、皆とやっと仲良くなれた気がしたのに。
「短い間だったが、お疲れさん。隊に戻っても頑張れよ」
『……っ』
ポンポンと頭に触れる優しい温もり。
顔を上げても、阿近さんは私を見ようとはしてくれなくて。
「…じゃあな」
するりと離れていく手に、私は腕を伸ばす事すら出来ない。
開いてしまった距離は、まるで私たちの心のように縮まる事は無いのだ。
2011/12/04
2013/02/23 加筆
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