beniiro tear | ナノ


▼ Boronia / ボロニア : よい香り 1/1☆



何度身体を重ねても、何度その瞳を見つめても、彼女のことが解らない。

…その心を奪えない。

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腫れ上がった蕾を執拗に舌で撫でると、指を埋めたそこからとろとろと溢れ出す蜜。中が伸縮を始めたところをみると、恐らく絶頂が近いのだろう。


…何度か身体を重ねるうちに、俺は気付いたことがあった。


「あっ、やだぁ…ふぁ、あぁ…」


蕾を撫でる指と、中を撫でる指を同時に止めると、彼女は快感を求めるように震えだした。涙を流して懇願するような瞳を向けてくるモンだから、思わず口元が緩む。


「やだっつーからやめた」

「ちが、…万事屋さ、ちがうの…」

「…どーした?言ってみ?」

「あ、なんでっ、ひどい…」


顔を真っ赤に染めて、ポロポロと涙を溢す彼女を黙って見つめる。俺の一挙一動に乱れ狂うなまえに、俺の心は翻弄されている。


「言わねーと、ずっとこのままだけど?」

「や、…いや、お願い、お願いします…イカせて、…っ」


…彼女は麻薬のような女だと。


その言葉を待っていた俺は、一気に彼女の中に自身を突き入れた。同時に張り詰めていた糸が切れたように、絶頂を迎えたなまえの中は、息が詰まるほどにキツく苦しい。顔を反らせて快感に浸るなまえは、まるで発情期の猫のように、声を上げて貪欲に俺を受け入れる。


「いやぁっ、あッ!ぁあ、銀時さ、んっ!」


何度触れても、物足りない。何度舌を這わせても、味わいきれない。何度腰を打ち付けても、壊せない。何故過去の男たちが自らこの女から離れていったのか理解できずにいたが、今なら分かる。


「だめッ、も、だめ…いや、あッ!」


…きっと、このままだと彼女に溺れ、狂ってしまう。

端正な顔立ちに、上品な性格。澄んだ声、透き通る肌。酔いそうなほど蒸せ返る、甘い花の香り。そんな彼女の悩ましげな火照った表情。悩殺的な彼女に骨の髄までしゃぶり尽くされるような、そんな感覚。

…今ならわかる。彼女が、怖い。


「……それでも、手放せねェ」

「ぎ、さッ…や、ぃああぁあっ…!」


大きく伸縮をした彼女の中から、寸でのところで自身を引き抜くと、腹の上に欲を放出させた。彼女の顔の横に腕を立て、その顔を見下ろしながら肩で大きく息をすると、濡れた瞳が俺を捉える。


…そんな目で、見るんじゃねェよ。


「…?」


何か言いたげな顔で、俺を見つめる彼女から離れ、インナーを羽織って無造作に着流しを床から拾い上げた。何も言わずに出て行く俺を、彼女も何を言うこともなく黙って見送った。


…好きだと、伝えたくなっちまうじゃねェか。






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