beniiro tear | ナノ


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手際よくベルトと帯を解き、なまえの傍に服を脱ぎ捨てる。荒く息をする彼女の両脚を担ぎ、自身の硬くそそり立った欲の塊を、彼女の奥に一気に突き立てた。悲鳴に似た嬌声をあげるなまえの中は、キツく、侵入を拒むようにぎゅうぎゅうと俺を締め付けるから、思わず眉を顰めた。


「…バカやろ…、力抜けよっ、」


慣らすように二、三度それを出し入れすると、その熱さに飲み込まれるような感覚に陥る。気を紛らわすためになまえの薄い唇を舐めると、彼女は応えるように俺の唇に吸いついた。思わず綻んだ俺は、苦し紛れに彼女の瞳を見つめ小さく呟く。


「お前、誰とでも、こーいうことすんの、…っ?」


…否定してほしかった。そうじゃない、と。
返ってきた「…万事屋さんこそ」と肯定ともとれる言葉に、俺は歯を食いしばって彼女に腰を打ち付ける。その度、俺の動きについて回るように彼女の湿った吐息が耳に届いた。もっと乱れろ、そんな気持ちで彼女の両腕を畳に押し付け、膨らみに舌を這わすとなまえはあからさまに悦んでみせた。


「やぁ、万事屋さっ…あっダメ、それ、ダメっ…」


その言葉を聞いて、俺の心がギシリと音を立てる。欲に勝てなかった俺の理性がまた息を吹き返す。思わず漏れそうになる吐息を抑えて、彼女の耳元へ顔を寄せた。


「こんなときくれェ、ちゃんと名前で呼べってんだ…、」


もういくらももちそうにない。一心不乱に腰を彼女の最奥へと打ち付けると、飲み込まれるような感覚に襲われる。熱くて、柔らかく動く彼女の中は、まるで天国のようだ。そんなことを頭の片隅で思った。真っ赤に染まった彼女から溢れる涙と、汗と、歓喜の声に俺の身体が、心が、どんどん酔っていく。と同時に、嬌声に紛れて、戯言のように彼女は何度もその言葉を口にした。


「銀時さ…ぁ、銀時さんっ」


全身が逆毛立つ感覚に襲われた。
…この女は何だ。何故こんなにも心を掴むのだ。
もう何も考えられなくなった俺は、達した彼女を追うように律動を激しくしたのち、それを引き抜きなまえの下腹部に欲をぶちまける。
全身の力を使い尽くしたように、肩で息をする俺に彼女は律儀にティッシュを差し出すもんだから、黙ってぶちまけられた欲を拭き取った。

ぼんやりと俺を見つめる彼女の視線に、居た堪れなくなり着流しを羽織り立ち上がる。そんな俺の背でガサガサと何かを漁る音が聞こえ、振り返ると彼女は数枚の札を俺に差し出していた。

…なァ、なまえ、普通って何だ?


「…これ、報酬です」

「…いらねェ」


気付けばそんな言葉を吐いていた。俺の言葉に、えっ?と聞き返す彼女に自嘲するような笑みを向けた。

…俺たちは、もう普通の恋はできねェのか?


「その代わり、また気が向いたとき、抱かせてくれよ」


その言葉が何を意味するのか、俺はわかっていた。もう、戻れない。彼女の求める"普通の恋"とは程遠い関係だったとしても。例えそれが、彼女を束縛してしまう言葉だとしても。
何も返事のない彼女に、都合よく肯定と受け取った俺は、振り返ることなくその部屋を出て行った。

…それでも、俺はお前の傍にいられるなら、それでいい。これがボタンの掛け違いだとしても、正しい選択じゃないとしても。俺にはそれしか選択肢がなかったのだから。





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