Dolce | ナノ


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「…ぎ、銀時…?」

「そーいう大事なことは、男から言わせるもんだろ?」


私を見下ろす銀時は、重い瞼で隠れた瞳で私をじっと見据えた。何か言おうとしたのに声にならず、口をぱくぱくと動かすことしかできなかった。そんな何とも情けない口は、そっと近づいた銀時の唇に塞がれた。高めの体温をその唇から感じると、自然と私の目尻からはまた涙が溢れる。銀時に優しく唇を啄ばまれ、私も必死にそれに応えた。次第に荒くなる息。舌が侵入してきたところで、私の身体はびくんと反応してしまう。


「…んぅ、…っ」


熱くて柔らかくって湿った銀時の舌が、私の舌に絡んでとてつもなくやらしいことをしてるような気がした。とうとう息がもたなくなって、ぎゅっと銀時の着流しを掴むと、気付いた銀時は唇を離した。


「…なまえ」

「…っ…ん、?」

「俺がこーいうことしてやりてーと思うのは、お前だけだ」


眼前いっぱいに銀時の優しい笑顔が広がって、私の涙腺はまた壊れたように何筋もの雫が溢れる。…わかっていた。わかっていたのに、自信がなかったの。ずっと離れ離れになってしまっていたから。もう私のことなんて忘れちゃったかな、なんて思ってたよ。ずっと銀時を忘れられなかった私を、同じように銀時が私のことを思ってくれていたか、不安だったの。


「だって、銀時、私のこと…妹って言った」

「あー、あれは…言葉のあやっつーか…」

「そんな言葉のあやなんか、ないよっ…バカ」

「…テメーの気持ちも伝えてねェで、俺の女だとかんなテキトーなこと言えるわけねーだろ、バカ」


むぅと口を尖らせた私に、銀時も片眉を上げて口を尖らせた。何だかそれが可笑しくって、思わず吹き出すと銀時もつられたように笑い出した。何年も離れていたのに、こんなに自然体でいられるのは、きっと銀時だから。


「…なまえ、俺だって、初めて会った時から、ずっとお前が好きだった。んで、今も、…すげー好き」

「…うん」

「もう二度と離さねーから、お前もぜってー俺から離れんな。もう二度とあんな気持ちになんのは御免蒙るっての」

「うん、約束だよ、…銀時」



そうして私たちは何年もの歳月を越えて、ようやく男女として結ばれた。初めてのキスも、初めての、……も。ずっと、銀時がいいと思っていた。もう二度と会えないと思っていたのに、ずっと大切にしてきた私の貞操は、無事に愛する人に捧げることが叶ったのだ。ずっと神様なんていないと思っていたのに、この日ばかりは神様の存在を信じてしまった。もしくは、天国の松陽先生が、また私たちを巡り会わせてくれたのかもしれない。そんな絵空事を考えてしまうほど、私は銀時の腕の中で幸せに浸っていた。




My first crush.
(銀時、あの時毎晩見張りして待ってたんだって?)
(……真選組にヅラの居所バラそーっと)





-end-


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葵様!
この度はリクエストありがとうございました(^−^)
長らくお待たせして申し訳ありません…!!
個人的にとても執筆が楽しいストーリーでした!
ヅラさんのセリフがなかなか難しくって(勝手に登場させたくせに)苦戦しました(笑)
お気に入ってくださると嬉しいです!
いつも応援ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします(^−^)


2/1 reina.


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