▼ 大人気ないアイツ 1/3
「ところでお前、地上なんか出て何してたの。わざわざアイツに会いに行ってたの」
はむっと団子を頬張った銀時は、また眉を顰めて不機嫌そうな表情を向けてきた。お茶を片手に団子を食べ終えた私は、ぽいっと串を皿に投げた。
「全蔵にこの前のお礼言ってなかったから」
「ふぅーん、…俺には?」
「はあ?!?いや言ったし、何なら昨日酒盛りしたじゃん」
「お前、アレ完全に俺接待した側だろーが!!どう考えても感謝の気持ちなんかねェだろ!」
私は昨晩のことを思い出して、大きく声を上げて笑った。月詠が酒癖が悪いことを知っていて、私は隣で何も言わずに銀時に酌をさせた。暴れ回る月詠が静かになったのは、どれくらい銀時が殴られてからだっただろうか。私はそれを笑いながら、酒を飲んでいた。
「な?お前の軽い回想だけでも、俺に対しての感謝なんか一欠片もねェじゃん!?」
「うるさいなぁー楽しかったんだからいいじゃんよ」
「納得できねーなァ。あの忍者にゃわざわざ礼しに言ったくせによォ」
「あーもうガキか、お前は!じゃあ、どーしろっての。何したら満足なんですかぁ、銀時さんは」
「…マジ?言っていいの?」
2本目の団子に手を伸ばそうとした私は、銀時が不敵な笑みを浮かべているのに気付いて、思わず眉を顰めた。…何こいつ。絶対よからぬことを考えてやがる。
「…内容によっては聞いてやるよ」
「ふーん、言ったな?じゃあ今日お前んち行っていい?…ゲームやらせてくんね?」
「…は?そんだけ?」
がめつい銀時のことだから、やれ酒奢れ、銭よこせ、とかなんとか言ってくるかと思いきや、何とも拍子抜けな提案だった。私は「別にいいけど」と銀時の思惑に気付かないままに即答してしまった。そんな私の言葉に先ほどまでのむくれはどこへやら、じゃあ決まりなー、と満面の笑みを浮かべた。
「…先に言っとくけど月詠は呼ぶなよ」
「んーじゃあ猿飛でも呼ぶ?」
「もっといらねェよ!あいつの名前出すな、納豆臭くなんだろ、団子が!」
それもそうかと、声を上げて笑う私に、銀時は呆れたような顔を向けてきた。
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