Ichika -carré- | ナノ


▼ 求め合う私とアイツ 1/4 ☆



銀時は私が頷いたのとほぼ同時に、私の顔を両手で固定したまま唇を奪った。二、三度唇を啄ばんだかと思えば角度を変えて吸い付くように唇を貪る銀時はいつも以上に余裕がないように感じた。そんな銀時を必死に受け入れながら銀時の胸元に手を当てれば、応えるように私の顔を抑える手に力が入る。

熱くて激しくて野生的なキスに私の脳内は早くも火照り出した。唇を割って侵入する銀時の舌がねっとりと執拗に私の舌を追い回しては唾液を絡め取るような動きを繰り返せば、口元からこぼれ出す唾液が顎を伝った。


「…っ、ん、…」


せっかちにも銀時の右手が私の首筋を伝って胸元に触れた時、私はようやく銀時を押し返して瞳を見上げた。はぁはぁと湿った吐息を漏らしながら怪訝そうに私を見下ろす銀時の手はそれでも胸元を弄ることを止めようとはしない。


「…玄関だから、ここ…、せめて寝室に…っ、わっ!」


私が言い終わるより先に私を抱き上げた銀時は器用に私のブーツを脱がして、自身もひょいひょいと履いていたブーツを玄関へと投げた。今度は私が銀時を見下ろす位置についたのをいいことに、私を見上げて求める銀時の唇を奪った。私を抱き上げたままキスを受ける銀時はそのまま寝室へと向かい、角に畳んであったであろう敷き布団を足で引っ張り出せば、私を抱えたまま敷き布団に倒れこんだ。


「…ダメだ、…今日はマジで、…」

「…ふ、ぁ、…んっ!」


倒れ込んだ私に覆い被さりながら私の首筋に舌を這わせる銀時の吐息が熱い。久々に感じる銀時の温もりを懐かしく思う間も無く、私の口には銀時の指が捻じ込まれた。舌を捉える銀時の指が少しだけ震えていて、途端に胸が熱くなる。

…私だって、ダメだよ。たったあれだけのキスで、身体が熱くて熱くておかしくなりそうだ。早く、もっと銀時の全てを感じたい。そんな気持ちが届いたのか、片手で器用に帯を解き襟元を開けば、素肌が空気に触れて自身がしっとりと汗ばんでいたことを知らされる。不意に私を見下ろす銀時が少しだけ目を細めた。


「あいつらに何された。どこ触られた?どこ舐められた、…なァ」


銀時の言葉にじんわりと涙が浮かぶ。ふるふると小さく首を振っても、そんなのは意味をなさないことは理解している。苦しそうに私を見下ろす銀時の瞳がいつになく真剣で私の心はとくとくと音を早めた。


「お前がされたこと、全部なかったことにしてやるから。…俺が全部忘れさせてやるから、お前は俺だけ感じて。俺だけ見て。俺だけを受け入れて、これから先、ずっと」


その言葉にまた性懲りも無く目尻から涙が溢れた。それに気付いた銀時は眉を八の字に上げて呆れたように口から指を引き抜いて溢れる涙を拭った。はだけた胸元を弄りながら唇を合わせられれば、いつになく正直な身体はピクリと大袈裟に揺れてみせた。すぐに口元から離れ、鎖骨辺りにキスを落とす銀時の髪の毛をきゅっと握りしめた。

熱い吐息もふわふわとした白い癖っ毛も荒っぽさの中に確かにある優しい指先も、全部が愛おしくてたまらない。…お前と出会ってから、私はずっとお前しか感じてないよ。お前しか見てない、お前しか受け入れられない。私はずっと酔わされている。坂田銀時という人間に、ただただ翻弄されている。それでいい。それが私の幸せなの。



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