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「いやー悪かったな、突然団子吹き出しちまって」
「いやいや、鼻ほじってた私も悪かったわ」
冷静になった私たちは互いの自己紹介を終えて、長椅子に腰掛けて団子とお茶を頬張った。買い出しに行っていたらしい日輪がひのやに戻り、私の顔を見るなり大きくため息を吐いた。
「なまえ、最近顔出さないじゃないの。どこで何してるのよ」
「んー?家でドラ●エ」
「こいつマジでマダオアルな」
「月詠さん、本当にこの人が副頭領なんですか?副頭領って、月詠さんと並んで恐れられてるって聞きましたけど…」
失礼な子供たちの発言に気にもとめずに団子を頬張ると、日輪と月詠は困ったように私を擁護し出した。
「普段はちゃらんぽらんなやつなんじゃが…」
「こう見えてとっても強いのよ、なまえは。月詠は黒の死神、なまえは赤の死神なんて呼ばれてるくらいにね」
「どこまでも銀さんにソックリですね」
「オイオイ、こんな乳臭い女と一緒にすんじゃねーよォ」
「はァー?こっちのセリフなんですけどォ。こんな中年オヤジと一緒にしないでくんなーい」
「あァ!?俺のドコが中年オヤジなんだよ!どっからどー見たってピチピチの好青年だろーがァ!」
「なまえ!それに銀時も!ぬしらやめぬか!」
…さてと、お礼も言ったことだし帰るかな。残った団子をヒョイと取り上げて立ち上がり、三人にもう一度頭を下げた。
「改めて、今回は本当にありがとう。またどっかで会ったらよろしくねん」
「なまえ?どこ行くんじゃ」
「家帰る」
またギャーギャーとうるさい月詠を躱して向かいの屋根に飛び乗り万事屋に手を振ると「なまえー!またなー!」と大きく手を振る神楽と、お辞儀をする新八。チラリとこちらを見ただけで何も返答のない銀時を尻目に、私は屋根を飛び移って帰路に着いた。
それが万事屋、そして銀時との出会いだった。
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