▼ 強いアイツ 紅蜘蛛篇 1/3
『あなた月詠でしょ?日輪から聞いたよ』
『ぬしは?』
『私はなまえっていうの。よろしくね』
『ねぇ、月詠』
『何じゃ』
『私より、強くなってよ』
『…わっちじゃ、ぬしには敵わぬ』
『師匠が言ってたの、私は月詠を護らなきゃいけないって』
『…護る?』
『もっと強い女になって、師匠と一緒に月を護るの』
…その為なら、私は何を犠牲にしても、我慢できる。
『…いい子だ、なまえ』
『…師匠、』
『お前のお陰で、月は月でいられる』
『例えるなら、お前は空だ』
『…空』
『どんなに雲が覆い、例え雨を降らせようと、例え雷を落とそうと、必ず月をこさえて戻ってくる。お前がなくては、月も太陽も映えるまい』
『…はい、師匠』
『…お前は決して女を捨てるな、なまえ』
『…はい』
『俺がお前を女でいさせてやる。…さぁ、なまえ、服を脱げ』
『また月詠が負けたそうだな』
『ごめんなさい、師匠。ごめんなさい…っ』
『何故月詠はお前に勝てない?女のお前が何故、女を捨てた月詠よりも強いのだ』
『やめて下さい…いや、痛いのは、もう……いやぁぁぁああッ!!!』
『…なまえ、お前の力で月詠を強くするんだ、この傷の数だけな』
…月詠、お前を護れるなら、私はこの身体でさえもいくらでも犠牲にするよ。
…お前の笑顔の為なら。
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