Ichika -carré- | ナノ


▼ 6/ ☆


全身を電撃が駆け巡るような快感に、私は危うく意識を手放しかけた。ガクガクと意思に反して震える身体には、もう力を入れることができない。一人用の椅子に定量オーバーの二人分の体重がかかって、ギッと聞こえた音に少しだけ意識を保てた気がした。私のお尻をがっしりと掴んだ両手は動くこともなく、私の様子を伺うような銀時に私は何も文句を言うこともできずに肩で息をしながら静かに見下ろす。


「…は、…っ、……あ、」

「何、…動けって?」

「ちがっ…!」


そうにやりと笑ってみせた銀時は、少しだけ私のお尻を前後に動かせばまたも全身に広がる強い刺激。思わず向かい合わせになった銀時の首に手を回し、すがるように抱きしめた。はっ、と短い笑い声が聞こえたかと思えば沈められたそれを勢いよく下から突き上げられて、私はその回した腕に強く力を込めた。


「あっ、あぁっ!ぃ、あ、…ぁあっ!」

「中、すっげ…」

「やあぁああ…っ!も、やぁ……ああっ」


私のお尻を持ち上げすぐに突き落とし、ぐちゃぐちゃになったそこに銀時の硬くそそり立つそれを埋められれば思考が何もかも停止する。いつまで経っても痺れが取れない。元に戻してくれるなんて宣っていたくせに、どう考えても悪化している。…それなのに、拒絶することは到底できそうにない。全てがおかしくなりそうなほどに、気持ちがいい。銀時の力強い手のひら、耳元で聞こえる熱い吐息、首回りに滲む汗に自身のうなじに感じる髪の毛のくすぐったさすらも。身体のありとあらゆる全てが性感帯になったかのように、全身で銀時を感じている。狂いそうだ、本当に、おかしくなってしまいそう。


「なァ…そんなすげぇの、…それ。っ…お前、何回イッた?…な、なまえちゃんよっ…」

「あッ…ああぁ…っ!ん、あぁ…銀時、もぉいやぁ…、あっあん、…っ!」

「んな喘ぎながら、嫌っていわれてもなァ。悦んでるよーにしか、…聞こえねっての…!」


おもむろにぐいっと後頭部の髪の毛を引っ張られれば、そのまま銀時に唇を奪われた。ぐしゃりと髪を握られたまま口内をねっとりと這う銀時の舌が熱くて敵わない。時折漏れる湿った吐息に銀時もいつにも増して興奮しているんだと実感して、また下半身がきゅっと疼いた。私のくぐもった声が口内に飲み込まれて、息苦しさに小さく首を振る。唇を離してはあっと酸素を吸い込んでも足りない。その間も絶え間無く最奥を突き上げられるたびに目の前が真っ白に染まって、声をあげながらひたすら涙を流した。


「もーだめ、…出ちまいそー、…出してい、中」

「あ、ああぁあっ!…ぃや、ぁあッ…!あっ!」

「聞こえちゃいねーか…ッ」


ダメ、やめて、と声に出したいのに口を開けば意思に反して上がる嬌声。勢いを増して聞こえる椅子の軋む音に肌のぶつかり合う音、ぐちゃぐちゃと鳴り響く水音。そんな音さえも私を滾らせて、また全身に痺れが広がった。獣のように勢いよく私を突き上げる銀時が吐息を漏らしながら「やっべェ、…マジ気持ちい」と独り言のように呟けば、また私は身体を震わせた。


「…は、ああぁっ、あ…銀時、…また、イッ…ああぁ………っ!!」

「俺も…も、出る…ッ」


がんがんと奥を突き上げられたと同時に私はまた大きく背を反らせて絶頂を迎えた。それを追うように銀時は奥を突き上げれば、中で痛いくらいに膨張したそれからどくどくと鼓動を感じて私は力なく銀時に身体を預けた。何度達しても余韻が抜けず、快感という名の地獄にいるような気分だった。身体はガタガタと震えが止まらず、中の伸縮を自分で感じてしまうほど、私の身体の異変は一向に治りそうにない。


「……なまえ、大丈夫か?」

「……大丈夫なワケ、ねーだろ、…ッ絶対許さない、から…!」

「ふーん、あっそぉ。んじゃまだまだできるってことだな」


は、と小さく反論した声はきっと銀時には届いていなかったのだろう。銀時は私を抱き上げて収められていたそれを引き抜けば今度はまた私を机の前に立たせた。次いで自身も私に立ちはだかるように立ち上がれば、机に手をつくように仰いだ。先ほどのように机に手をついて、銀時に背を向けたと同時に前触れもなく後ろから勢いよく未だそそり立つそれを突き入れられた。


「…ひ、ああぁあッ………!!」

「うそ、え?なに、…また入れただけでイッたの?」


なにも言葉を返せない。ついていた手に早くも力が入らず肘を曲げて机に胸を押し付けるような形ですがりつく。力の入らない膝は銀時が後ろから腰を持ち上げていることによって何とか保てている。ガクガクと身体が震えて、次に自身を襲う快感に慄くことしかできない。…こんな仕打ち、許せない。拒絶したいのに身体が言うことを聞かない。呆れるほどに銀時を求めている。この男のせいでこんなにもおかしくなっていると言うのに、私に快感をもたらすこの男の全てが欲しい。…もう他に、何も考えられない。



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