Ichika -carré- | ナノ


▼ 3/ ☆



「なまえ」

「や、だ…っ、触んな…!」

「乳首勃ってんじゃん、そんなすげぇの?コレ」


へたり込む私の前にしゃがみ込んでいる銀時は、わざとらしく耳元に唇を寄せて無駄に低い声でそう囁いた。その間も硬く主張する頂きに指を掠めながら、声が漏れる私の様子を伺うように眉を上げて微笑んでいる。その腕を必死に掴みながら抵抗しても、微力すぎる抵抗に銀時の腕はビクともしない。

…すげぇなんてもんじゃない。本当に、本当にやばい。


「は、…ぁ、っ!あ…」

「なまえすげぇ息熱いけど。興奮してんの、期待してんの」

「して、ねーよ…!風呂上がり…だから、あっ!」

「ふーん、あっそ」


次の瞬間私の膝の裏に腕を通して勢いよく私を抱き上げれば、そのまま反転してソファに私を降ろした。寝そべるような体制の私に覆いかぶさり、妖しい笑みを浮かべながら私を見下ろす銀時に呼吸が早くなるのを感じた。身体が熱い。すぐそばまで迫った銀時から垂れ下がる癖のある髪が顔を掠めるだけで、気がおかしくなりそうだ。熱い。身体が、…熱い。


「タオル取ってい?」

「むり…!ねぇ銀時、やめて、こんなの使わなくったって、…別に、」

「たまにはいーだろ。こんな発情してるなまえちゃん、そうそう見れるもんじゃねーし」

「誰が…っ、あぁっ!!」


鼻と鼻がくっつきそうなほどの距離の銀時がくっと口角を上げた瞬間、勢いよく右の膨らみを鷲掴んだ。びくんっと大きく身体をしならせてそれを受け入れてしまった私は大きく声を上げた。そのままやわやわと心許ない膨らみの形を変えながら、その度高い声を上げる私を銀時は相変わらずの距離で見つめている。


「あっ、…や、ぁあっ!やめて、ダメだってば…っ!」

「触って欲しいくせに強がっちゃってよ」

「触って、ほしくなんかっ…、ぃあ、あっ、あっ!」

「んじゃ何でそんなあんあん喘いでるわけ。気持ちいんだろ」

「あ、あぁっ、やだぁ、あっ!」


頬にキスをしながら、しきりに私の膨らみを弄ぶ銀時に抵抗しようと肩を押し返して見ても、私の力はいつもの半分も出ていない。…おかしくなるほどに気持ちがいい。ただ胸を揉まれているだけだというのに、身体中がどろどろに蕩けそうになる。だけどこれを受け入れてしまっては、私はこのバカの言いなりじゃねーか。そんな悔しいことあるもんか。快感を求める自分と、銀時の行為を肯定したくない自分とがせめぎ合っているというのに、身体はバカみたいに正直で。


「ぎん、…やだ、ぁぁあ!そこは、だめ、触っちゃだめ…っ!!」


タオル越しでもわかるほどにツンとそそり立った頂きをきゅっと二本の指で摘まれればまた押し寄せる快感の波に飲み込まれそうになる。必死に理性を保とうとしても、そんなものは無意味だというように全神経がその頂へと集中する。


「すげぇ勃ってんじゃん。なァ、ちょっと確認した方がいいよな、胸揉んだくれーでこんなになるわけねェもんな」


そう可笑しそうに笑う銀時の言葉の意味がわからない。悩む間も無くバッとタオルを解かれて、露わになる素肌。その間も激しく揉みしだかれながら感じる快感に私の瞳からは涙がこぼれた。銀時はまじまじと直接その膨らみを見つめたかと思えば、そそり立つ頂にちゅ、と軽く唇を合わせた。その瞬間軽く身体がピンっと反り上がる。


「…ひぃあぁ!あっ、やめて、やめてっ…!!」

「いーの、やめちまって」

「…ダメなの、ほんと、おかしいの…っ!身体、おかしいから…っ!!」

「おかしくなるよーにしてんだから、むしろ普通の反応だろ」

「ふ、あっ!!ぁああぁあっ…!」


呟いた言葉を頂に閉じ込めるように口に含まれれば、私はまたいとも簡単に波に飲み込まれた。普段よりも大袈裟に揺れる身体に、抜けない快感の余韻。自分が怖くなるほどに銀時の一挙一動にめちゃくちゃになってしまう。それでも尚、ちゅくちゅくと音を立てながら頂に吸い付いたり、舌先をこれでもかと形状に沿って這わせたり、時折軽く立てられる歯が、痛いくらいに気持ちいい。その度に首を振りながら何度も何度も波に飲まれていく。


「ぃ、ああぁっ!やぁあ!銀時、離してぇっ、あぁあ…!ん、ぁああッ!」

「なに、もう満足したの」

「した、したからぁ…!!もう離して、許して…っ!」

「ちぇ、つまんねーの」


そう唇を尖らせると案外簡単に胸元から顔を上げた銀時は仕方ねーから元に戻してやるか、なんてつまらなそうに声をあげた。その言葉に安心したもののどこか物足りなさを感じながら、私は銀時の顔を見上げた。やめてと言ってしまった手前、これ以上何を引き止めることもできない。それにこの身体、やはり不快であることは確かだし。また私を担ぎ上げた銀時はそのまま何故か自身の机の上に私を降ろし、どかっと目の前の椅子に腰をかけた。腕を組んで少しだけ口角をあげている銀時に、まだ火照りが治らない私は肩で大きく熱い息を吐きながら首を傾げた。


「…な、なに、元に戻してくれるんじゃ、ないの…」

「んーその前に一個だけ、やってほしいことがあんだけど」

「…は?なに、…」


やってほしいこと、とは。この後に及んで引き延ばすつもりなのか。そもそもこの香を嗅いだものが、すんなりと元に戻る方法などあるのだろうか。普段だったら即座に突っ込んで問い詰める私も、その香のせいでぼんやりとした思考が邪魔して言葉にならない。そして、次に繋いだ銀時の言葉すらも、すぐには理解ができなかったのだ。


「ここでパンツ脱いで」


「………は?」


パンツ?え?何?…パンツ?何を言ってるのだこの男は。普段であれば「バカじゃねーの、殺すぞ」なんて胸ぐら掴んで食いかかる私も、前途したように思考がままならない。それどころか「脱いで」という言葉に過剰に反応して、また下腹部にそわりとした感覚が走る。そんな弱り切っている私に、更に追い討ちをかけた。



「んで、足広げて『お願い銀さん、私を楽にしてぇ』っていってみ?」





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