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…何だか知らねェが身体が男になっちまったみてーだから中身も男っぽく行くことにするぜ。(ちょっと楽しんでるのは秘密だぜ)
そんなこんなでかぶき町を歩く俺たちの目に飛び込んできたバカデカイ液晶に映し出されたデコボッコ教なる変な宗教団体の演説により、この状況に陥った経緯を知った俺たちは一先ず銀時たちの元へと向かっていた。それもあちこちに設置された監視カメラを破壊しながら。前方に何だか見覚えのある制服を着た女共がいることに気付くと、その中にさらに見覚えある着流し姿の女がいた。そしてその隣に…あ、あれ新八だ!
「新八!」
「えっ!?誰!?」
「俺だよ、俺」
こちらを捉えるなりぎょっとする新八の肩に手をかけて、「なまえ♂だよ」と笑いかけると新八より先に、見慣れた着流し姿の銀髪ショートカットの女が声を上げた。
「えェェェ!!!嘘だろ、お前なまえ?!それにおめーら、月詠にさっちゃん…百華まで!」
「やっぱりお前銀時か。何をこの緊急事態に仲良く友達と遊んでんだ」
「嘘だろォォォ!!!めちゃめちゃイケてんじゃねーかァァァァ!!!銀さん立場ねェェェ!!」
「なまえ♂、見ろよ。銀時…いや、銀子♀のヤツ元のお前よりいい身体してるぜ」
悪く笑った月雄♂は銀時改め銀子♀をぴっと指差した。そんな様子にふっと鼻を鳴らして笑った俺は驚愕する銀子♀の肩を抱いて、ウィンクしてみせた。
「オイ銀子♀、今夜一発どうだ?」
「何でとんでもねーすけこましヤローになってんだよォォォ!」
「見ろよ、俺のコレ。元のお前のよりいいもん持ってんだぜ」
ぴっとズボンを引っ張り中を見せつけると、更に絶望したように銀子♀は口をパクパクして見せた。「あんたら何楽しんでるんですか」とドン引きしている新八に、猿飛♂がくいっとメガネを上げて睨みつけた。
「君たちこそ何をしているんだ。こんなところで遊んでいる暇はないだろう?デコボッコ教を叩く算段はついたのか」
「さっちゃんさんまで…」
「猿飛♂、今のコイツらは使い物にならねェ。俺らでどうにかするしかねェだろう」
「……月詠さんもめちゃめちゃカッコよくなってるし」
「月詠じゃねェ。月雄♂だ」
やんややんや騒ぐ奴らを尻目に銀子♀が俺の手を引いて少し離れれば、こそっと耳打ちをした。それにしても元が銀時にしちゃ随分可愛らしいツラしてやがる。
「なァ、なまえ♂」
「何だよ銀子♀」
「このまま戻んなかったら俺らのセックスどうなんの」
「テメー何の心配してやがんだァァァァ!!」
思わず殴りつけそうになったものの、今この体格で普段の通りに殴れば銀子♀の身体が持つかどうか。ぐっと拳をこらえ、こちらもこそっと普段の口調で耳打ちをした。
「ていうか何、デコボッコ教潰さないと戻んないの?まじ無理なんだけど!股にコレぶらさがってんの慣れないんだけど!」
「俺だって乳ついてんの慣れねーよ!重てーよ!」
「つーかどさくさに紛れてスルーしたけど、何お前立派な乳つけてんだよ!殺すぞ!」
「お前こそ何立派なイチモツぶら下げてんだ!自信なくなるわ!」
「オイ、テメーら何コソコソしてやがる」
突然背後から聞こえてきた太い声に思わず振り返ると、そこに立っていたのは真選組の格好をした……何こいつ、女?男?とにかく太ってるし、目付き悪いし、前髪V字だし…ってまさか。
「お前、土方か?」
「テメーはそのツラの傷…万事屋の女か」
「え、待って。なんで土方だけ豚になってんの?」
「豚じゃねェよ!!!!」
わらわらと集まってきた真選組改めまん選組♀の連中に絡まれながら、月雄♂や猿飛♂、それに神楽惇♂、十兵衛♂とやらと地下にあるデコボッコ教のアジトを潰しに行くこととなった。
…あー股が気持ち悪ィ。
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