Ichika -carré- | ナノ


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「だからぁ、誤解だって、月詠!」


顔を真っ赤に染め、プリプリと怒る月詠を前に、必死に誤解を解こうとする私と、クナイを盛大に受けたと思わしき血塗れの銀時は正座をしている。
何度となく昨晩の出来事の説明をしても、納得してくれそうにない。隣でふわぁと欠伸をする銀時は、特に誤解を解くつもりはなさそうだ。…元はと言えば、お前のせいだろ!!


「…ぬしらが何をしてようと勝手じゃが、なまえ!仕事をサボるでない!」

「サボってないって、寝坊しただけ!それにナニもしてないかんね、酒飲みながらドラ●エしてたら、寝ちゃってただけだかんね」

「変わりんせん!!!」


キーンと耳を劈く月詠の声を遮るように、耳に指を突っ込んだ。…まぁ、寝坊した私が悪いんだから、何も文句は言えまい。と、そこで銀時がようやく口を開いた。


「ギャーギャーうっせーなァ。お前さ、さては処女だろ?」

「なっ……!!!」


…あーあ、言っちゃったよ。
怒りで赤く染まっていた月詠の顔が、どんどん違う意味で赤くなっていく。口をパクパクしたまま何も言えない月詠に、ケッと銀時は嘲笑った。


「死神太夫なんて呼ばれてるくせに、てんでそう言う話に弱いんで、前から思ってたんだよなァ」

「な、…なっ!!」


今度は月詠が銀時に馬乗りになって、寝ぼけたような銀時の顔をボコボコと殴り出した。ふわっと遅れてつられた私は一つ欠伸をして、立ち上がって鏡に向かい髪を束ねた。時折銀時の「ぶべっ」とか「冗談っ」と言った悲鳴に似た声が聞こえてくるが、私は気にも留めずに、玄関へ向かった。


「じゃ、お二人さん、お先に仕事行ってきまーす」

「気をつけるんだぞ、なまえ。わっちはこいつを…」


ひらりと手を振る私に、月詠はハッと気付いて慌てて私の後を追いかけた。



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