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「で、何でこんなとこ連れてくんだよ!?!」
河川敷から手を引かれ、有無も言わさず連れてこられたネオン街。いつだか訪れたホテルの一室に連れ込まれた私は、先ほどまでの涙や湿っぽさはどこへやら、眉を釣り上げて銀時の胸倉を掴んだ。
「はァ?だってお前、喧嘩して仲直りしたカップルがその後やることっつったら一つしかねェだろ」
「お前本当に今まで恋愛経験ある!?そんなカップルいねーよ!展開おかしいだろ!」
ハイハイと子供をあやすように私の頭を撫でながら、ベッドに腰を下ろした銀時は膝の上を叩き私に座るよう促す。一向にベッドに近寄ろうとしない私に「早く!ホラ!太夫!」と笑顔でまた膝を叩いた。
「太夫!じゃねーんだよ。もう何なの、お前は。性欲しかないワケ?」
「安心しろ、食欲も睡眠欲もちゃんとあるぜ」
「知らねーよ」
しつこく膝叩く銀時に仕方なく跨るようにして太ももに腰を下ろせば、銀時は私の腰に手を回し満足そうに私を見上げた。たったそれだけのことなのに、私の胸は小さく高鳴ってしまうのだから、私もどうかしているんだろう。
「ん」
帯を解きながら唇を突き出す銀時の首に手を回し、促されるまま首を下げてその唇に自身の唇を合わせた。久しぶりに感じる銀時の柔らかさに、私は黙って瞳を閉じてその唇を啄む。解いた帯を床に投げ、するすると肩から着物が離れていくのを感じた。吐息を漏らしながら、絶えず舌を絡ませて唇を離した頃にはすっかり生まれたままの姿にされてしまった。銀時はおもむろに膨らみに手を這わして、私の胸元へ顔を埋める。私は恥ずかしさに銀時の首に手を回したまま、ふわふわとした癖っ毛を抱くようにして、同じように顔を埋めた。
「あ…っ」
「なァ、アイツとヤッたの?」
「…んッ、ヤッては、ない…けど、あっ」
「…ヤッてはない?っつーことは、何。どこまでならヤッたの」
膨らみを揉みしだきながら、不機嫌そうにして、すぐに頂を口に含む。その動作を受けながら、私は何も答えられなかった。そんな私にふぅんと声を上げれば、もう片方の膨らみの頂を指で摘んだ。
「これは?…これはされたの?」
「あっ、…あ、はぁっ…あ!」
「へー、あっそ。そんな声出したんだ」
ふるふると首を振りながら私は銀時の首に回す腕にぎゅっと力を入れた。舌でコロコロと遊ぶように頂を責められれば、私は高く声を上げる。
「アイツにもこうされて濡れたの?」
「や、いや…銀時、やめて、そんなこと…」
「お前淫乱だもんな。どーせあんあん喘いだんだろ、腹立つなァ」
そんなことを言い放ちながらも、なぜかどこか楽しそうな銀時に私は眉を顰める。銀時に跨る太ももに指を這わして何も隠すもののないそこを一撫でした。びくっと大袈裟に身体を揺らせば、嬉しそうな声が聞こえる。
「なァ、すげーことになってんだけど。やっぱアイツでも感じたの。誰でもこうなんの」
「あ、…あぁっ!ふ、あ、ぁあ…っ!」
「アイツにもそーやってねだったの?」
「ちが、…あっ!ゃあ…あ、」
かぶりを振りながら必死に否定をしても、きっと銀時を煽るだけだとわかっている。あられもなく湿ったそこを指が這うたびに、耳を塞ぎたくなるような羞恥の音。蕾をきゅっと押されれば、全身が小刻みに揺れ出した。
「いや、あっ…ダメ、銀時、あっ…」
「お前ほんとここ触られんの好きな」
「あ、あっ!ふぁ…あっ!」
「すげー硬くなってるんだけど」
二本の指でその蕾を摘まれれば、腰に力が入ってガタガタと震える。久しぶりに施される銀時の愛撫に私の身体は素直に悦んだ。目尻からは涙が溢れ、だらしなく開いた口からこぼれる唾液を、拭うこともできずに必死に銀時の首にしがみつくことで、正気を保とうとする。強弱をつけながら蕾を摘み、膨らみを揉んでいた手のひらが同じように下腹部へと伸びた。ぐっしょりと濡れた出処に指を沈められれば、私の身体はとうとう絶頂を迎えに上がっていく。
「いやぁっ!ダメ、だめぇ……あ、あ!やぁッ!」
「ダメじゃねーだろ、こんなになっといて、何がダメなの」
「ぎんっ、あ!いや、ダメッ、もぉダメ…ッあ、もう……っ!!」
「何勝手にイこーとしてんの」
絶えず施されていた愛撫が、ピタリと止まった。もうすぐそこまで迫っていた絶頂を迎えることができずに、私はパクパクと口を開いた。涙を流しながら銀時の顔を見下ろすと、意地の悪い笑顔が私を捉えた。
「誰にでもこーなんの?アイツにもこんな姿見せたの」
「あ、ちが、…ちがう…っ」
「ちがくねーだろ。言えよ、誰に抱かれても狂っちまう淫乱だって、言えよ」
銀時はいつだってこうだ。散々身体を責めるだけじゃ飽き足らず、意地悪い言葉を向けて私の反応を楽しむ。はらはらと涙を流す私にほら、と促す口元は嬉しそうに緩みきっている。ぶるぶると首を振る私は、さぞ醜い顔をしているだろう。顔を真っ赤に染めて涙を流し口元から垂れる唾液に、眉を顰めながら銀時を見つめて、また涙をこぼす。
「…私は、…ダメなのっ…」
「なに、聞こえねーよ」
「銀時じゃなきゃ、ダメなの…っ、銀時じゃなきゃイけないの、銀時がいいの、…お願い、ねぇ、…銀時ぃ…ッ」
腰を揺らしながら涙を流し懇願してみせる私は、本当にただの欲に狂ったメス猫と変わりはない。そんな私に驚いたような顔を見せた銀時は、はっと短いため息を吐いてすぐに嬉しそうに笑った。
「…反則だろ、それ」
小さく呟いた銀時は止めていた指が私の中の弱いところを執拗に撫で、外の蕾をくにくにと摘んだ。舞い戻ってきた快感に、私は大きく身体を震わせる。
「あッ!あ、いやぁあ!も、だめ、だめッ、…イッ…あ!あ、」
「俺でしかイけねェんだろ。じゃーイかせてやるよ」
「ひ、あぁっ…あぁ、やぁああっ!!!」
そして達するために添えられる銀時の言葉に、私は電撃が走ったように身体を硬直させて、執拗に責めるその銀時の指によって達せられた。
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