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大地達から逃げ帰ってきたのはいいけれど、明日の学校気まずすぎて死にそう…。
なんで水曜日っていう週のど真ん中、折り返し地点でこんなこと起こってるのよ…
ボフンッとベッドに飛び込み、うーんと唸る。
想いを伝えることがモヤモヤを解消する一番の方法なんだろうけど……
「無理」
自分でもめんどくさい女だと思う。
我儘で、優柔不断で。好きな人に想いも伝えることができなくて。
携帯に目をやると、大地と孝支からLINEが来ていた。二人とも殆ど同じ内容で。
どちらにも返信する気が起きず、そのまま未読無視。
孝支は何も悪くないのだけれど、泣き顔を見られた手前恥ずかしいのだ。
そう考えていると、携帯が震えだした。
「電話…。…………大地」
携帯のディスプレイには≪澤村大地≫の文字。
電話シカトはさすがに良心が痛み出してしまった為、通話ボタンをスライドさせ電話にでた。
「も、もしもし」
『今日、どうした?大丈夫か?』
「あ、うん。ちょっと…ね」
『いつも相談乗ってもらってるんだし、なまえもたまには俺らを頼ってくれてもいいんだぞ?』
私の悩みの原因はお前だ!なんて言えるわけもなくて。
こういう時に告白するのが少女漫画なんだろうけれど、意気地なしの私には無理だ。
「んーん、大丈夫。何でもないの。大地もちゃんと好きな人の誕生日プレゼント選んで渡しなさいよ」
『ならいいんだけどさ。わかってる!じゃあ、また明日な』
「うん。また明日」
きっと、この想いを伝えると"また明日"なんて言えなくなってしまうから。
私は自分のために心の箱に想いを閉じ込めて鍵をした。
二度と溢れださぬように…。
箱に入れて鍵をしてこの関係を崩したくないから